【12月6日 AFP】失踪(しっそう)から5年後にロンドン(London)の警察署に突然現れて話題となった男が、今度は詐欺容疑で逮捕された。警察当局が5日、明らかにした。

 逮捕されたのはジョン・ダーウィン(John Darwin)容疑者(57)。

 ダーウィン容疑者は2002年にイングランド北東の北海(North Sea)をカヌーで航行中に水死したとみられていたが、今月1日に突然ロンドンの警察署に現れ、自分は行方不明者だと語っていた。

 ダーウィン容疑者は過去5年間の記憶がまったくないと警察に話したが、父親との感動的な再会を果たした同容疑者の息子は、失踪(しっそう)の2年前の2000年6月から記憶がないと語り、説明が食い違っていた。

■妻との撮影写真で深まる謎

 警察当局は、ダーウィン容疑者の失踪に不審な点があることを示す金銭的な情報が提供されたため、約3か月前から捜査中だったことを明らかにした。

 さらに英デーリー・ミラー(Daily Mirror)紙が、2006年7月にパナマ市(Panama City)で撮影したとされるダーウィン容疑者と妻の写真を一面に掲載したことで、疑惑はさらに深まっている。

 この写真は外国人移住者のサポートサービスを提供しているパナマの不動産会社のウェブサイトに、ジョンとアン(Anne)の名前で掲載されていたもの。同社社長はデーリー・ミラー紙の取材で、2人は「ダーウィン」という名字を使用しておらず、英国人かどうかも分からないと語っている。

 妻のアン・ダーウィン(Anne Darwin)さん(55)は、夫のカヌーが英北東部Seaton Carew沿岸に漂着後、夫の生還をあきらめて6週間前にパナマに永年移住した。

 英デーリー・メール(Daily Mail)紙とデーリー・ミラー紙によると、アンさんは夫名義の生命保険金をすでに受け取っているが、「望んでいたのはお金ではなく、主人が戻ってくること。返金は大変だが何とかする」と話しているという。

 警察当局によると捜査はまだ初期段階で、必要となればアンさんの本国召喚も検討するという。(c)AFP/Michael Thurston