【11月27日 AFP】パリ(Paris)郊外で25日発生した移民系の若者らによる暴動を受け、フランス司法当局は26日、暴動の発端となった若者2人の死亡事故について、過失致死の疑いで警察の内部調査を行うよう命じた。

 25日の暴動はフランス全土で暴動が頻発した2005年以来の規模となった。発生した状況も当時とほぼ同じだった。

 多くの移民が暮らすパリ郊外のVilliers-le-Belで25日夕方、オートバイに乗った15歳と16歳の少年が、パトロール中のパトカーと衝突して死亡。事後現場付近の高層団地に約100人の若者が集まり事故現場から逃走した警察官を非難した。その後26日午前零時過ぎまで約6時間にわたり暴動が続いた。

 暴徒は警察に銃を向け、自動車約30台に放火、店舗や建物から金品を略奪した。この暴動で警察官25人、消防士1人が負傷した。警察は暴徒9人を逮捕した。当局によると、一部グループは店舗や通行人、ドライバーなどから金品を強奪したという。ある容疑者は店舗から宝石を盗むところを逮捕された。

 暴動が終わった後ようやく科学捜査の専門家が現場で作業を開始した。パトカーは前の部分が大きく壊れていたが、オートバイの損傷は一見、比較的少ないように見えたという。

 警察によると死亡した若者らが乗ったオートバイはパトロール中のパトカーの側面に衝突したという。目撃者によれば少年ら2人はどちらもヘルメットをかぶっていなかった。

 検察当局は、少年2人の死亡事故について、過失致死と保護責任者遺棄致死の疑いで警察に内部捜査を命じたという。

 ニコラ・サルコジ(Nicolas Sarkozy)大統領は、郊外で問題となっている移民への差別や高い失業率を解決すると公約しており、1月に関連政策の詳細を発表するとしている。一方、社会党(Parti SocialistePS)のフランソワ・オランド(Francois Hollande)第一書記は、今回の暴動は「フランスの郊外に深く根付いた社会的危機の表れ」だと指摘した。(c)AFP/Emma Charlton