【11月9日 AFP】2005年7月のロンドン(London)同時テロの翌日にロンドン警視庁の捜査員がブラジル人男性をテロ容疑者と誤って射殺した事件を調査していた英独立機関は8日、ロンドン警視庁のイアン・ブレア(Ian Blair)警視総監が調査を妨害しようとしたなどとする報告書を公表した。これに対しブレア警視総監は同日、「職務にとどまるつもりだ」と述べ、辞任要求には応じない考えを強調した。

 警察に対する苦情を調査する「警察苦情処理独立委員会(Independent Police Complaints CommissionIPCC)」は、2005年7月にロンドン南部の地下鉄ストックウェル(Stockwell)駅構内で、ブラジル人男性ジェアンシャルレス・ジメネゼス(Jean Charles de Menezes)さん(当時27)が自爆テロ容疑者と誤認され警察官らに射殺された事件を調査していた。

 事件については今月1日、ロンドン中央刑事裁判所の陪審がIPCCの報告書を根拠に、市民の健康と安全を守る義務法違反でロンドン警視庁に有罪評決を下し、裁判所が罰金17万5000ポンド(約4170万円)と訴訟費用38万5000ポンド(約9170万円)の支払いを命じている。

 結審以降、ブレア警視総監の辞任を求める声が政界で高まっていたが、警視総監の妨害行為を非難する報告書が公開されたことから、辞任圧力がさらに高まるとみられる。(c)AFP/Katherine Haddon