【10月31日 AFP】ミャンマー東北部などで麻薬栽培を取り仕切り「麻薬王」として知られたクン・サ(Khun Sa)氏が27日、ヤンゴン(Yangon)市内で死去していたことがわかった。74歳だったとみられている。タイの麻薬捜査当局が30日、明らかにした。

 クン・サ氏は1996年にミャンマー軍政に投降して以来、ヤンゴンで暮らしていた。最近では糖尿病や高血圧の持病を抱えていたという。

 現在もミャンマー北東部を拠点に軍政への抵抗を続けるシャン州民族軍(Shan State Army)の報道官も、クン・サ氏の死去を確認した。

 ミャンマー、タイ、ラオスが国境を接する、いわゆる「黄金の三角地帯(Golden Triangle)」で麻薬栽培、密輸を取り仕切ってきたクン・サ氏については、一般的に「麻薬王」の側面が強い。

 その一方で、同氏は民兵組織「モン・タイ軍(Mong Tai Army)」を結成し少数民族シャン族の分離独立を目指した闘士の顔も持つ。

 米国は1989年、ヘロイン密売の罪でクン・サ氏を起訴、200万ドル(約2億3000万円)の懸賞金をかけて同氏を指名手配したが、ミャンマー軍政は米国の同氏の身柄引き渡し要求に応じなかった。(c)AFP