【10月30日 AFP】ロンドン(London)の高等法院で開かれているダイアナ元英皇太子妃(Princess Diana)の死因究明の審理で29日、目撃者が証言し、事故当日、元妃の乗った車の走行を妨害したフィアット(Fiat)社製の「ウノ(Uno)」の運転手を特定した。

 また、審理ではダイアナ妃と交際相手のドディ・アルファイド(Dodi Fayed)氏の乗ったメルセデス(Mercedes)のドライバー、アンリ・ポール(Henri Paul)氏が「パパラッチをからかって」おり、事故直前には飲酒運転をしているようだったとの証言も行われた。

■「白いウノの運転手は元ボディーガード」

 証言台に立ったGeorges DauzonneとSabine夫妻は、事故直前に目撃された白いウノの運転手はLe Van Thanh氏だったと証言。同氏は以前、ボディーガードだった人物。夫妻は事故当夜、夕食後の午前0時過ぎに車で帰宅中だった。

 Dauzonn氏は事故現場のトンネルの隣にある高速道路に入ろうとしたが、不規則な運転をする白いウノが現れたため速度を落としたという。個別に証言した夫妻は、5枚の写真の中からLe Van Thanh氏と同氏の赤いウノの写真を確認。事故前か事故後かの論争はあるが、Le Van Thanh氏が所有する車は再塗装されていたと報道されている。

 これまでの審理では、白のウノが事故直前に元妃が乗るメルセデスに衝突した証拠があるとされ、事故後の検証で車に付着した塗料痕が発見された。しかし白いウノ自体は依然として見つかっていない。

 5枚の写真の中には、ドディ氏の父親モハメド・アルファイド(Mohamed Al Fayed)氏がウノのドライバーだと主張する仏人写真家James Andanson氏の写真も含まれていた。モハメド・アルファイド氏は、英情報機関MI6と英王室が絡んだ英国上層部による陰謀の一部として、Andanson氏が白いウノを運転していたと主張している。

■「ポール氏はパパラッチをからかっていた」

 また同日、パパラッチを乗せていたバイクのドライバーであるStephane Darmon氏もパリ(Paris)からテレビ中継で証言した。同氏はメルセデスのドライバー、ポール氏がリッツホテル(Ritz)の外で待機していたパパラッチたちに話しかけ「元妃の写真の撮影に向けた期待をあおっていた」ようだったと警察に供述したことを明らかにした。

 さらに「ポール氏は『元妃は15分くらいでここに現れる』と話すなど、パパラッチたちをからかっていたようだった」と語り、「ポール氏はパパラッチに誤った情報を与えたと思う」と証言した。

■「元妃の運転手にアルコール依存症の症状」

 またDarmon氏は、ポール氏にアルコール依存症の症状がみられたことや、事故直後はパパラッチも「パニック」状態だったことを証言した。事故当時、ポール氏は基準を大幅に上回る量の飲酒をした上でパパラッチの追跡を受けていたとされている。

 審理は今月始めに開始され、最長6か月間続く見通しだ。(c)AFP/Prashant Rao