米当局、児童ポルノおとり捜査にインターネット利用
このニュースをシェア
【10月30日 AFP】米当局の犯罪捜査官フリント・ウオーターズ(Flint Waters)氏は通常の勤務時間中にインターネットをサーフィンし、数週間前に知り合いになった相手とオンラインでチャットしたり、写真やビデオを交換する。
そして一日の勤務で目にした画像を頭から追い出すために、ストレスに対処するカウンセリングを頻繁に受けに行く。 というのもウオーターズ捜査官は、児童に対するインターネット性犯罪の捜査を専門とするおとり捜査官で、現実の彼の仕事の内容は、魅力的な職務説明とは対照的だからだ。
ワイオミング(Wyoming)州出身で4人の子どもの父親でもある同捜査官は「ストレスに対処するのは難しい」と話す。 「捜査の過程でインターネットで目にした画像に対処するために、外傷後ストレスの処理を専門家と行っている」という。
今月初め、ワシントンD.C.(Washington D.C.)の連邦議会で行われた公聴会で、ウオーターズ捜査官は、捜査過程で目撃したビデオや写真に映し出された児童に対する恐ろしい性犯罪行為について、生々しく細部にわたって証言した。子どもを狙った性犯罪者はインターネットの匿名性により活性化され、捜査当局では世界各地で数百万人が暗躍していると見ている。
「2歳の子どもを持つ母親を装って、その子どもと性交渉しようとした犯罪者をおびき出した」とウオーターズ氏。
インターネットは子どもを食い物にする性犯罪容疑者の追跡と逮捕を容易にしたが、人材不足により、当局の取り調べや裁判にまで持ち込めるのは犯罪者のわずか2%に過ぎないという。
ウオーターズ捜査官によると、インターネットによるおとり捜査システムの使用を許可されてる捜査官は全世界で800人。
捜査官らは手強い敵に直面している。 世界各国のインターネット性犯罪捜査官から提供されたデータを集めて作成した資料によると、9月だけで児童ポルノのファイルが入っているコンピューターは少なくとも2万7000台に上る。
「小児愛者によるインターネットの使用は、非常に大きな問題」というのは、コネティカット(Connecticut)州のケビン・オコナー(Kevin O’ Connor)検察官。同州では、前週、52歳の男がインターネットで知り合った未成年を性交渉目的に誘い出した罪と、児童ポルノを所有していた罪を認めた。最高で終身刑と50万ドル(約5700万円)の罰金が科せられる可能性がある。この男が誘い出そうとした未成年は、実際はおとり捜査官だった。
またフロリダ(Florida)州では前週、児童ポルノを配布した男に15年の実刑判決が下された。5歳ぐらいの幼い女児と性交する男のビデオも含まれていた。
この男は、14歳の少女と性的に露骨なチャットをしていて捜査当局の目を引いた。実は、オハイオ(Ohio)州出身の少女と信じていたチャットの相手は、おとり捜査官だった。
フロリダ州選出のデビー・ワッサーマン・シュルツ(Debbie Wasserman Schultz)下院議員は、児童に対するインターネット犯罪の取り締まりを専門としたサイバー捜査ユニットを各州に設けることを定めた法律の立案者のひとり。
「この法律により、連邦、州、地方の警察は、児童を襲う性犯罪者の残した電子指紋(電子個人情報)を採取する訓練を受けることになる」との声明を発表した。
ウオーターズ捜査官は、「われわれ(捜査関係者)に見られていると気付かせないで子どもにいたずらをする痴漢たちを捕らえる機会」を与えるものだとインターネットの役割を称賛する一方、インターネットによって、こうした性犯罪者が「標的」を見つけたり、より巧妙で捕まりにくい犯罪のやり方を習得するのがより簡単になったという。
さらに「恐らくそれ以上に重大」なこととして、インターネットがこうした性的嗜好(しこう)を持つ人たちを結びつけ、自分たちを正当化するようになったと指摘する。
「かつては彼らは自分たちの考えていることが間違っており、これに打ち勝つ必要があると思ったことがあるかもしれない。それが今ではインターネットで同じ興味を持つ相手を見つけて、自分たちの考え方を『正常』だとしている」と捜査官。
オコナー検察官もまた、インターネットが児童性犯罪取り締まりにおいてもろ刃の剣との認識を示す。
聴取で被害者の子どもたちが加害者とはインターネットを通じて知り合ったと言うのを聞けばインターネットは「間違った人間の手に渡れば危険な武器」だと考える、と同検事。
コネティカット州では児童に対するインターネット性犯罪の取扱件数が2倍か3倍に上るとのことで、おとり捜査の活用頻度を増やしている。「水に投げる釣り糸が多ければ多いほど捕らえる魚は多い」と同検事。「インターネットでこうした性犯罪者らの行為を目にすると不安になるが、犯罪を食い止めることができると報われる」と話した。(c)AFP/Karin Zeitvogel
そして一日の勤務で目にした画像を頭から追い出すために、ストレスに対処するカウンセリングを頻繁に受けに行く。 というのもウオーターズ捜査官は、児童に対するインターネット性犯罪の捜査を専門とするおとり捜査官で、現実の彼の仕事の内容は、魅力的な職務説明とは対照的だからだ。
ワイオミング(Wyoming)州出身で4人の子どもの父親でもある同捜査官は「ストレスに対処するのは難しい」と話す。 「捜査の過程でインターネットで目にした画像に対処するために、外傷後ストレスの処理を専門家と行っている」という。
今月初め、ワシントンD.C.(Washington D.C.)の連邦議会で行われた公聴会で、ウオーターズ捜査官は、捜査過程で目撃したビデオや写真に映し出された児童に対する恐ろしい性犯罪行為について、生々しく細部にわたって証言した。子どもを狙った性犯罪者はインターネットの匿名性により活性化され、捜査当局では世界各地で数百万人が暗躍していると見ている。
「2歳の子どもを持つ母親を装って、その子どもと性交渉しようとした犯罪者をおびき出した」とウオーターズ氏。
インターネットは子どもを食い物にする性犯罪容疑者の追跡と逮捕を容易にしたが、人材不足により、当局の取り調べや裁判にまで持ち込めるのは犯罪者のわずか2%に過ぎないという。
ウオーターズ捜査官によると、インターネットによるおとり捜査システムの使用を許可されてる捜査官は全世界で800人。
捜査官らは手強い敵に直面している。 世界各国のインターネット性犯罪捜査官から提供されたデータを集めて作成した資料によると、9月だけで児童ポルノのファイルが入っているコンピューターは少なくとも2万7000台に上る。
「小児愛者によるインターネットの使用は、非常に大きな問題」というのは、コネティカット(Connecticut)州のケビン・オコナー(Kevin O’ Connor)検察官。同州では、前週、52歳の男がインターネットで知り合った未成年を性交渉目的に誘い出した罪と、児童ポルノを所有していた罪を認めた。最高で終身刑と50万ドル(約5700万円)の罰金が科せられる可能性がある。この男が誘い出そうとした未成年は、実際はおとり捜査官だった。
またフロリダ(Florida)州では前週、児童ポルノを配布した男に15年の実刑判決が下された。5歳ぐらいの幼い女児と性交する男のビデオも含まれていた。
この男は、14歳の少女と性的に露骨なチャットをしていて捜査当局の目を引いた。実は、オハイオ(Ohio)州出身の少女と信じていたチャットの相手は、おとり捜査官だった。
フロリダ州選出のデビー・ワッサーマン・シュルツ(Debbie Wasserman Schultz)下院議員は、児童に対するインターネット犯罪の取り締まりを専門としたサイバー捜査ユニットを各州に設けることを定めた法律の立案者のひとり。
「この法律により、連邦、州、地方の警察は、児童を襲う性犯罪者の残した電子指紋(電子個人情報)を採取する訓練を受けることになる」との声明を発表した。
ウオーターズ捜査官は、「われわれ(捜査関係者)に見られていると気付かせないで子どもにいたずらをする痴漢たちを捕らえる機会」を与えるものだとインターネットの役割を称賛する一方、インターネットによって、こうした性犯罪者が「標的」を見つけたり、より巧妙で捕まりにくい犯罪のやり方を習得するのがより簡単になったという。
さらに「恐らくそれ以上に重大」なこととして、インターネットがこうした性的嗜好(しこう)を持つ人たちを結びつけ、自分たちを正当化するようになったと指摘する。
「かつては彼らは自分たちの考えていることが間違っており、これに打ち勝つ必要があると思ったことがあるかもしれない。それが今ではインターネットで同じ興味を持つ相手を見つけて、自分たちの考え方を『正常』だとしている」と捜査官。
オコナー検察官もまた、インターネットが児童性犯罪取り締まりにおいてもろ刃の剣との認識を示す。
聴取で被害者の子どもたちが加害者とはインターネットを通じて知り合ったと言うのを聞けばインターネットは「間違った人間の手に渡れば危険な武器」だと考える、と同検事。
コネティカット州では児童に対するインターネット性犯罪の取扱件数が2倍か3倍に上るとのことで、おとり捜査の活用頻度を増やしている。「水に投げる釣り糸が多ければ多いほど捕らえる魚は多い」と同検事。「インターネットでこうした性犯罪者らの行為を目にすると不安になるが、犯罪を食い止めることができると報われる」と話した。(c)AFP/Karin Zeitvogel