【10月18日 AFP】英国籍の男性が、自身がエリザベス女王(Queen Elizabeth II)の妹、故マーガレット王女(Princess Margaret)の息子である可能性を主張し、王女の遺書の閲覧を求めていた裁判で、ロンドンの控訴院は17日、男性の控訴を認めた。

 訴えていた男性は、英領ジャージー(Jersey)島出身の会計士、ロバート・ブラウン(Robert Brown)さん(52)。2002年に71歳で亡くなったマーガレット王女と、恋人だった英国空軍のパイロット、ピーター・タウンゼント(Peter Townsend)氏との間に生まれた可能性があると主張している。

 ロンドンの高等法院家裁部は7月、根拠がないとしてブラウンさんの申し立てを退けた。王室およびタウンゼント氏双方の弁護人も、ブラウン氏の主張は「中傷的」で「狂った妄想」に基づいていると非難した。一審判決に対し、ブラウンさんは控訴した。

 控訴院の判事2人は17日、ブラウンさん側の控訴を維持し、同院で日程を定めて審問を行うことを認めた。

 同裁判所は、「マーガレット王女の遺書閲覧を求めるブラウン氏の要求は、王女の遺書を封印しておくことの是非をめぐる公共の利益に合致するとの同氏の主張には、少なくとも論拠がある」と控訴維持の理由を明らかにした。

 高位の王族の遺書は1911年以降、正式に封印され、公開されたことがない。

 マーガレット王女は親族に760万ポンド(約18億円)を遺しており、ブラウンさんは自分にも相続権が存在する可能性を主張している。またブラウンさんは、王女の母親である故エリザベス皇太后の遺言の閲覧も要求している。

 ブラウンさんは1955年1月5日、ケニアのナイロビ(Nairobi)で生まれた。同年6月4日付の出生証明書には、母親は、エリザベス女王の衣装担当、ハーディ・エイミス(Hardy Amies)の下でモデルをしていたシンシア・ジョーン・ブラウン(Cynthia Joan Brown)、旧姓ライル(Lyle)だったと記載されている。父親は、第2次世界大戦中に英陸軍兵士としてケニアに派遣されたダグラス・リチャード・ブラウン(Douglas Richard Brown)となっている。

 ブラウンさんの申し立てを正しいとする推論としては、シンシア、ダグラス夫妻が、王室のスキャンダルを避けるために、マーガレット王女の子どもを養子にすることに合意したことが考えうる。しかし、王女のような公的立場にある人物が、妊娠を隠し続けることは困難だとして、この説を疑問視する声もある。(c)AFP