【9月22日 AFP】台湾の与党、民主進歩党(民進党、Democratic Progressive PartyDPP)は22日、偽の領収書で特別費(交際費)を使ったとして横領罪などで起訴された同党の游錫コン(Yu Shyi-kun)主席が辞任したことを明らかにした。

 同党幹部によると、游主席は21日夜遅くに、訪問先のカナダからファックスで辞意を伝えてきた。同主席は先に、起訴された場合には党主席を辞任すると明言しており、「まだ起訴状を受け取っていないが、約束を守る」として辞任を表明した。 

■検察当局主席のほかにも2人を起訴

 検察当局は21日、游主席、呂秀蓮(Annette Lu)副総統、陳唐山(Chen Tan-sun)国家安全会議秘書長の計3人を、汚職に関与したとして起訴した。游主席は、2000年10月から2005年12月にかけて、偽の領収書で特別費として240万台湾ドル(約840万円)を引き出し、不正に使った疑いが持たれている。
 
 だが、起訴に「ショックを受けた」という游主席は「最終的には司法がわたしの無罪を証明するだろう」と述べ、無罪を主張している。 横領罪で有罪となった場合には禁固7年以上、文書偽造で有罪となった場合には禁固7年以下の刑罰が科せられる。

■相次ぐ汚職事件

 総統選を半年後に控えた台湾では、著名人による汚職が相次いだことで、政局が揺れている。

 民進党の正副総統候補の謝長廷(Frank Hsieh)、蘇貞昌(Su Tseng-chang)両氏については、正当な経費と認められたため、嫌疑が晴れている。

 最近の最も大きな汚職疑惑としては、陳水扁(Chen Shui-bian)総統の呉淑珍(Wu Shu-chen)夫人の関与が疑われる横領事件がある。呉淑珍らは総統府機密費1480万台湾ドル(約5190万円)を横領したとされ、現在係争中。同事件では、陳総統も容疑者に浮上したが、総統の不起訴特権により訴追を免れた。

 また、陳総統の娘婿、趙建銘(Chao Chien-ming)被告は証券取引法違反(インサイダー取引)で有罪となり、懲役7年と罰金300万台湾ドル(約1050万円)の実刑判決が言い渡されたが、判決を不服として争っている。(c)AFP