【9月21日 AFP】(9月22日更新)ペルー政府によるアルベルト・フジモリ(Alberto Fujimori)元大統領の身柄引き渡し請求を審理しているチリ最高裁は21日、同大統領の身柄をペルー政府に引き渡すとする最終判決を下した。7月のチリ高裁判決は、判事が単独でフジモリ元大統領の身柄引き渡し請求を却下する判決を下していたが、最高裁は合議審による見直しを行い、結果としてこれを覆す形となった。

 判決理由についてAlberto Chaigneau最高裁判事は、大統領在任時(1990年-2000年)の人権侵害2件および汚職5件の重要性に基づいて裁定したと説明した。ペルー検察当局の起訴事実には、1991年にリマ(Lima)市内で軍の特殊部隊が住民15人を殺害した事件、1992年にカントゥータ大学(Cantuta University)で軍が学生9人を殺害した事件などが含まれている。

 最高裁は10日に最終判決を下していたが、その発表は延期され、チリ政府が政治的理由から裁判の長期化を狙っているとの批判が出ていた。ミチェル・バチェレ(Michelle Bachelet)チリ大統領はチリ政府の「判決引き延ばし疑惑」を否定し、最高裁の決定を尊重すると表明している。 

 判決を受け、フジモリ氏は同日、最高裁判決を受け入れることを弁護士を通じて発表した。上告は認められていないことから、7年間におよんだフジモリ大統領の亡命生活に終止符が打たれ、自身の在任時代の嫌疑について、母国ペルーで裁かれることとなる。 

 フジモリ元大統領は、3か月以内にチリを離れペルーに送還されることとなるが、同元大統領の娘のケイコ(Keiko Fujimori)さんは、フジモリ氏がペルーで公正な裁判を受けられるのかとの疑問を呈した。

 これに対し、国際人権団体「ヒューマン・ライツ・ウオッチ(Human Rights WatchHRW)」のPero Jose Miguel Vivanco氏は、「今はフジモリ元大統領の時代とは違い、ペルーの司法は独立性と自治性を回復している」とし、「元大統領には公正な裁判が保証されるだろう」と語った。(c)AFP