【9月11日 AFP】中国が米、英、仏、独政府のコンピューターシステムに相次いでサイバー攻撃を仕掛けたとされる事件は、中国のような国がこうした安価で目立ちにくい新兵器の威力に目覚めつつあることを物語るものだと、米国の専門家が指摘している。

 大手メディア各社は当局者に確認した情報として、中国が各国の政府サイトに攻撃を仕掛け、米国防総省と仏国防省も被害に遭ったと報じた。しかし中国政府は事件への関与を否定している。

 米Terrorism Research Center(テロリズム研究センター)のNed Moran氏は、一連のサイバー攻撃が中国から来ていることは明らかだとした上で、「国がスパイを多数雇って人的なネットワークを張り巡らさなくても、コストをほとんどかけずにサイバー攻撃で実力を行使できるということが理解されつつある。中国はその筆頭にあり、ロシアも同じだ」と指摘した。

「攻撃パターンの検出は可能で、わたしの見たところ、今回の攻撃はおそらく中国から来ている。中国政府が仕掛けているか、あるいは国民が仕掛けているのを見て見ぬふりをしているかだ」と同氏は言う。

 Moran氏によると、サイバー攻撃では、まず標的とする組織の従業員に、例えば「上司」などになりすまして電子メールを送る。相手がメールに記載されたリンクをクリックするとコンピューターへの侵入に成功。そこから組織のネットワークにアクセスして欲しい情報を探し、ひそかにコピーして外部に持ち出す。同様の手口で防衛網に侵入されれば、司令官と現地の部隊との通信が遮断される可能性もあるという。

 攻撃側は気づかれないために、2、3人にあてて電子メールを送信する。「相手は極めて辛抱強い」とMoran氏は話している。(c)AFP