【8月30日 AFP】4月に発生した米バージニア工科大学(Virginia Tech University)の銃乱射事件で、調査を行っていた米バージニア(Virginia)州当局は30日、教職員や学生たちに対する情報提供など、事件当時の大学当局の対応が遅すぎたとする調査結果を発表した。全体で147ページにわたる報告書では、大学警察と職員の事件対応の遅さが指摘された。

 事件は4月16日早朝に発生。犯人は精神不安定な学生、チョ・スンヒ(Cho Seung-Hui)容疑者(23)だった。1時間足らずの間に学生寮と学部棟で銃を乱射し、学生など計33人が殺害された後、容疑者本人も自殺した。

 調査報告書には「大学当局の上層部は、学生寮での最初の乱射事件発生から約2時間が経過するまで、全学への情報提供を行っていなかった」と記載されている。

「バージニア工科大学(VTPD)は、学生2人が殺害されたにもかかわらず、全教職員および生徒に対して注意警戒を呼びかけなかった」

 報告書はさらに「乱射事件は2件とも非常に危険なものであり、取り繕う余地は一切なかった。事実関係が直接的に提供されることが必要だった」と指摘。

 調査委員会の8人の理事は、大学当局はチョ容疑者の精神疾患に対して適切なケアを行っていなかったとも指摘されている。

「チョ容疑者は大学低学年に在学時、既に多数のトラブルを起こしており、本人の精神不安定を示す兆候は明確だった」

「学内のさまざまな部局や個人が個別の兆候を認識していたが、大学当局は効果的な介入を行わなかった。情報全体を知っていた者はなく、個別の事象を結びつけて考えた人間もいなかった」(c)AFP