【8月5日 AFP】(一部更新)駐留米軍兵士がイラク人の少女を暴行し、少女を含む家族4人を殺害した事件で、ケンタッキー(Kentucky)州フォートキャンベル(Fort Campbell)で開かれていた軍法会議は4日、ジェシー・スピルマン(Jesse Spielman)被告に、仮釈放の可能性のある禁固110年の有罪判決を下した。

 これに先立つ3日、軍法会議はスピルマン被告を暴行、暴行の共同謀議、暴行を目的とした家宅侵入、4件の重罪謀殺で有罪の評決を下していた。

 スピルマン被告は7月30日、少女の暴行・殺害および家族の殺害については無罪を主張、放火、司法妨害などでは有罪を認めていた。

 事件は2006年3月、バグダッド(Baghdad)南部の町マハムディヤ(Mahmudiyah)で、14歳のイラク人少女Abeer Kassem Hamza al-Janabiさんが米兵5人から性的暴行を受け、Janabiさんを含む一家4人が殺害され、自宅が放火されたもの。軍法会議はスピルマン被告が犯行グループの一員だったと判断した。

 事件の首謀者である元米国陸軍兵卒スティーブン・グリーン(Steven Green)被告は除隊されているため、軍法会議ではなくケンタッキー州の連邦裁判所で裁かれる。検察は死刑を求刑する方針。

ポール・コルテス(Paul Cortez)軍曹とジェームズ・ベイカー(James Barker)技術兵は、今年すでに有罪を認めておりそれぞれ禁固100年、禁固90年の刑を受けている。

 見張り役を務めたとされるブライアン・ハワード(Bryan Howard)被告は、従犯と司法妨害ほう助の罪で禁固2年3か月の有罪判決を受けた。

 前年までに、米軍兵士らは町で見かけたイラク人少女のレイプを計画、犯罪を隠ぺいするために、少女とその家族を殺害し、自宅に放火したことが明らかになっている。

 軍法会議でコルテス軍曹はJanabiさんをどのように押さえつけたかなど暴行の詳細を供述。さらに、グリーン被告がJanabiさんの両親と6歳の妹を連れて行った寝室から4、5発の銃声を聞いたことも証言した。その後、寝室から姿を現わしたグリーン被告は3人を殺害したと話し、Janabiさんをレイプした後、頭を銃で撃ち抜いたという。ベイカー技術兵はJanabiさんの遺体を毛布で包み、ほかの兵士にライターを渡し、火をつけさせた。住宅はまたたく間に火に包まれたという。

 被告らは第101空挺師団に所属していた。この事件の捜査を通じ、米国のイラク駐留に対する批判が高まった。(c)AFP