【7月28日 AFP】英国のScott Baker控訴院判事は27日、同国のウィリアム王子(Prince William)とヘンリー王子(Prince Henry)が、母である故ダイアナ妃(Princess Diana)の死をめぐる裁判について、その期間や捜査の及ぶ範囲について懸念を示した手紙を同裁判官宛に書き送っていたことを明らかにした。王子の弁護人は、この手紙をマスコミに公開していない。


 ダイアナ妃の死に関する調査報告について、現在、ロンドン高等法院で予審が行われており、ベッカー判事が控訴院において審問を行うことになっている。

 現在、裁判では、1997年8月にパリで発生した事故で、ダイアナ妃と交際相手のドディ・アルファイド(Dodi Al Fayed)氏と共に死亡した運転手のアンリ・ポール(Henri Paul)氏の「酒気帯び運転」に関する矛盾点を、ポール氏の弁護人が明らかにしている。

 ポール氏のRichard Keen弁護人によると、2006年11月、ロンドン警視庁のジョン・スティーブンズ(John Stevens)前警視総監は、ポール氏の両親に対し「ポール氏が事故当時飲酒していた形跡はなかった」と述べた。しかし、その1か月後に提出された前警視総監の報告書には、「ポール氏のアルコール検出量が、フランスの法定規則の3倍以上であった」と記されている。前警視総監は、3人の死は事故によるものと報告している。

 Keen氏は「スティーブンズ前警視総監の発言と報告の大きな矛盾は、隠ぺい工作があったことを示しており、説明が求められる」とし、前警視総監は証人として召喚されるべきで、ポール氏は「スケープゴート」にされたと主張ししている。

 一方、ベッカー判事は、「スティーブンズ前警視総監は尋問を受けることになるが、証人として召喚するのは時期尚早」としている。「この件をうやむやにするつもりはないが、スティーブンズ前警視総監がポール氏の家族にうそをついたとは思えない」との見解を示した。こうした状況下で、王子たちがベッカー判事へ書簡を送ったことが明らかになった。審問は10月に行われる予定となっている。(c)AFP