【7月11日 AFP】ロシア連邦保安局(FSB)元情報局員アレクサンドル・リトビネンコ(Alexander Litvinenko)氏が毒殺された事件で、容疑者のアンドレイ・ルゴボイ(Andrei Lugovoi)氏に対する英国政府の身柄引き渡し要求をロシア政府が拒否した件について英政府は10日、「非常に遺憾」とする声明を発表、両国間の緊張が高まっている。

 今回の声明は、憲法がロシア国籍保有者の外国への引き渡しを禁じているとして、ロシア政府が正式にルゴボイ氏の身柄引き渡しを拒否したと、英公訴局(Crown Prosecution ServiceCPS)が発表したことを受けてのもの。

 ロシア側はルゴボイ氏の裁判をロシア国内で行うことを提案したが、英検察当局は、ルゴボイ氏がロンドンで英国民の計画的毒殺という極めて重大な犯罪を犯したとしてロンドンでの裁判を主張、ロシアでの裁判は「公正性の基準に反する」としていた。

 リトビネンコ氏殺害への関与を一貫して否定しているルゴボイ氏はロシア政府の動きを歓迎、インタファクス(Interfax)通信に対し、「英国の司法制度の独立性と客観性に疑問を感じる」と語った。(c)AFP