【7月6日 AFP】ドミニク・ドビルパン(Dominique de Villepin)前仏首相がニコラ・サルコジ(Nicolas Sarkozy)大統領の失脚を狙ったとする謀略疑惑で新たな証拠が発見されたのを受け、捜査当局は5日、前首相の自宅を家宅捜索した。司法当局によると、この家宅捜査はドビルパン前首相によるサルコジ大統領への中傷および大統領選出馬妨害の可能性に関する新たな証拠を探すために行われた。

■新証拠はドビルパン氏に命じられた捜査官のPCから発見

 この「クリアストリーム疑惑」と呼ばれる事件は、2004年にサルコジ大統領らがルクセンブルクのクリアストリーム(Clearstream)銀行に、隠し口座を開設して裏金を受け取っていたとする密告文書が、Renaud Van Ruymbeke判事にあてに郵送され、これを受けて当時外相だったドビルパン氏が、情報機関高官のフィリップ・ロンド(Philippe Rondot)氏に捜査を命じたもの。その後、書類は偽物で、また提供者が欧州航空防衛宇宙会社(EADS)のJean-Louis Gergorin元副社長(当時)だということも判明した。

 新たに発見されたドビルパン前首相の関与を示す新たな証拠は、情報当局高官のロンド氏のコンピューター上にあった文書だという。捜査担当者はドビルパン前首相とシラク前大統領が、サルコジ氏の大統領選出馬を阻止するため、密かに偽リストを公表しようとした可能性があるとして捜査しており、今回発見された新たな証拠は、ドビルパン前首相が偽リストが漏えいするように仕向けたとする申し立てを裏付けるものとみられている。

■深まるシラク前大統領の関与疑惑

 またこの文書には、前首相がジャック・シラク(Jacques Chirac)前大統領支持を明確にして行動していたことも示されている。

 当時、ドビルパン・シラク両氏とサルコジ大統領は大統領選をめぐって緊張した関係にあった。ドビルパン前首相とシラク前大統領は、ともにこの事件の関与を否定。5月に退任したシラク前大統領は、この件に関しては「大統領時代の不訴追特権が適用される」として証言を拒否している。

 またドビルパン前首相は同日声明を発表し、「クリアストリーム疑惑に関して、いかなる政治家に対する捜査も、またいかなる政治家の名誉を傷つけるようなことも求めない」と主張し、新たな証拠を「うその申し立て」として批判した。前首相は2006年12月に、この事件について証人として聴取されている。今回は自身の弁護のため、参考人として聴取を受ける意向を示した。(c)AFP