【6月15日 AFP】中国各地のれんが工場などで、多数の少年らが強制労働を強いられていた事件の実態が次々と明らかになり、中国全土を震撼(しんかん)させている。

■テレビで放映された強制労働の残酷な実態

 国営テレビが放映した、山西(Shanxi)省洪洞(Hongtong)のれんが工場から救出された労働者らの映像は衝撃的だった。皆、強制労働でやせ衰え、立ち上がることもできない少年もいた。また大半が背中や顔に、れんがによる暴行を受けた跡がある。

 救出された労働者は、口々に強制労働の過酷な実情を証言している。ある労働者は「脱出など不可能だった」と語り、脱出を試みた者も「無駄だった」と証言する。

 テレビ映像が映し出す薄汚い掘っ立て小屋にはトイレもなく、労働者らは不潔な床に積まれたれんがの上で雑魚寝していたという。このほかにも、れんが積み作業をさせられる10歳ほどの子どもや、工場かられんがを積んだ荷車を運び出す少年らの映像も放映された。

■「働きが悪いから殴り殺した」と逮捕された工場長

 逮捕された工場長は労働者の1人を「殴り殺した」とカメラの前で供述。理由は「十分に働かなかったためだ」という。「働きが悪いもんだから、脅してやろうと思ってシャベルを振り上げたら、立ち向かってきやがった。だから、頭をめがけてシャベルを振り下ろしたら、倒れて動かなくなった」さらに、同工場長は「逃亡した奴らは、すぐに捕まえて袋だたきにしてやった」と語る。

 15日の警察発表によれば、山西省や河南(Henan)省のれんが工場や炭坑で警察が行った一斉摘発により、450人余りの労働者が救出された。しかし、警察は、さらに1000人近くが監禁され強制労働させられているとみる。

 国営新華社通信(Xinhua)は14日、「労働者らは人身売買業者にだまされるなどして工場に連れて来られ、殴られた上に十分な食事も与えられず無給で長時間労働を強いられていた」と報じている。(c)AFP/Robert J.Saiget