【6月7日 AFP】英航空防衛機器大手BAEシステムズ(BAE Systems)は7日、英国の兵器売買契約に関連して同社がサウジアラビアのスルタン・ビン・アブドゥルアジズ(Sultan bin Abdul Aziz al-Saud)皇太子に10億ポンド(約2400兆円)を超えるわいろを贈ったとの報道について、これを否定した。

 英ガーディアン(Guardian)紙は、少なくとも10年以上にわたって、サウジアラビアの前駐米大使、スルタン皇太子が管理する銀行口座に10億ポンド以上の裏金が振り込まれたとする疑惑を報じており、7日のコメントはこれを打ち消すもの。

 同紙によれば、裏金の詳細は、1985年に英サウジ間で合意した英国最大の武器輸出計画「ヤママ(Al Yamamah)計画」における総額430億ポンド(約10兆3000億円)におよぶ取引を、英重大不正捜査局(Serious Fraud OfficeSFO)が調査するなかで明らかになった。

 しかし、2006年12月に英国の司法の最高責任者であるピーター・ゴールドスミス(Peter Goldsmith)法務長官が、同調査は国内外における英国の国益を損なう恐れがあるとの見解を表明したことから、調査は現在棚上げ状態となっている。

 BAEの広報担当者は「2年半にわたって、わが社が所有するヤママ計画関連の情報はすべてSFOに提供してきた。徹底的な調査の結果、国防上の観点から、回答すべき事案は存在しないという結論に達した。報道されている法務長官報道官の発言のとおり、メディア報道によってもこの立場は変化するものではない」との見解を示した。

 また、「政府間の取り決めであるヤママ計画における支払いは、すべて英国とサウジアラビア両政府の明確な承認のもとに行われたものである。BAEは戦略的に重要な同計画について報道されているすべての疑惑を否定するとともに、契約上の守秘義務を順守する」と述べた。

 SFOは、BAEシステムズがサウジアラビアとの取引継続を確実にするため、ヤママ計画が始まった当初からサウジ王族に贈賄を行っていたとみて、調査を進めていた。(c)AFP