【6月4日 AFP】オランダ・ハーグ(Hague)の国際刑事裁判所(International Criminal CourtICC)で開かれているシエラレオネ国際戦犯法廷(SCSL)で4日、人道に対する罪など11の罪状で起訴されているチャールズ・テーラー(Charles Taylor)リベリア元大統領(59)の公判が行われた。同被告は出廷を拒否、被告不在のまま審理が開始されている。Julia Sebutinde裁判長が明らかにした。

■出廷拒否「公正な裁判受けられないと判断」

 テーラー被告の弁護人、Karim Khan氏が法廷で読み上げた書面によると、同被告は訴訟手続きをボイコットすると述べている。検察側の9人に対し、弁護団が1人しかいないことをあげ、「現在の状況では、特別法廷で公正な裁判を受けられないとの結論に達した。審理出席を拒否しなければならない。リベリアとシエラレオネの人々に対して不正を行う茶番劇に参加することはできない」と記した。

 テーラー被告は、アフリカの元国家元首として初めて戦争犯罪に関する国際法廷の裁きを受ける。昨年3月、身柄を拘束され、3か月後にシエラレオネからハーグへ移送された。以来、国際法廷で拘置されている。同法廷は、シエラレオネの首都フリータウン(Freetown)で行われた場合に政情不安が予想されたため、ハーグでの設置が決定した。

 Khan弁護人は裁判開始前、準備に必要な時間も資料も足りないと複数回にわたって訴えていた。また、法廷設置場所をハーグへ変更することについても、被告の「公正な裁判を受ける権利」を損なうとして異議を唱えていた。

■11の罪状を否認

 被告が問われているのは、1991年から2001年のシエラレオネ内戦で反政府勢力「革命統一戦線(Revolutionary United FrontRUF)」を支援したことに関する、人道に対する罪や戦争犯罪など計11の罪。RUFは内戦中に最大20万人を殺害、さらに多くの人々の手足などを切断したとされる。
 
 起訴状は、テーラー被告がリベリアと国境を接するシエラレオネのダイヤモンド取引に関する利権と引き換えに、RUFの武装、訓練、統制などを行ったとしている。被告はすべての罪状を否認している。

■今後の予定

 4日の公判は、検察側の冒頭陳述で約4時間かかるとみられ、検察側が事件の概要を示し、犯罪事実の立証を試みる。その後休廷となり、25日に第1回の証人尋問が行われる。裁判全体は2008年末までの18か月以内に結審する予定だ。

 同法廷によると、テーラー被告に有罪判決が下された場合、死刑抜きの「有期の収監」となる。法廷をハーグに移動した際の取り決めでは、有罪の場合は、英国の刑務所で服役することになる。(c)AFP/Stephanie van den Berg