【ワシントンD.C./米国 18日 AFP】元連邦捜査局(Federal Bureau of InvestigationFBI)捜査官らからなる分析チームが17日、故ジョン・F・ケネディ(John F. Kennedy)元大統領暗殺の実行犯が2人いた可能性があることを発表した。

 故ケネディ大統領の暗殺は、リー・ハーベイ・オズワルド(Lee Harvey Oswald)の単独犯説がこれまで有力視されてきたが、この説に一石を投じることになった。

■「使用された銃は、それほど珍しいものではない」

 分析チームは元FBI捜査官で法医学者のウィリアム・トービン(William Tobin)氏、テキサスA&M大学(Texas A & M University)教授で、1963年の暗殺の際に残された弾丸破片を分析、その結果から実行犯が2人いた可能性を導き出した。

 分析は弾道分析を専門とするクリフ・シュピーゲルマン(Cliff Spiegelman)氏らにより、最新の科学技術が駆使して行われた。

 この分析には、ケネディ元大統領の遺体から摘出された5個の弾丸破片を使用したが、1978年の調査報告書はこれらを、「いずれも特殊な銃から発射された2個の弾丸の破片」としていた。

 しかし今回の分析では、これとまったく異なる結果が得られた。新たな分析では、10種類の弾丸と比較したが、そのうちの1つがサンプルと一致したという。

 論文はこの発見から「暗殺に使用された銃はそれほど珍しいものではない」と指摘。さらに「このことは、弾丸が2発ではなく3発以上発射された可能性を示唆している」と推察している。

■「3個目の弾丸は、他の弾丸とは異なっている」

 この推論から、トービン氏らは次のように結論づけた。「3個目の弾丸は、オズワルドの銃の弾丸とは異なっており、第2の暗殺者がいた可能性が高い。1978年の調査報告書は、発射された弾丸は2個としているが、その科学的根拠はない。第2の暗殺者はいなかったとする証拠には根本的な誤りがある」

 ケネディ元大統領暗殺直後に政府内に設立されたウォーレン委員会(Warren Commission)が唱えたオズワルド単独犯説には、これまでも、多くの議論を生みつつも、確かな反証が得られなかった。

 当時の連邦最高裁判所長官アール・ウォーレン(Earl Warren)氏率いるウォーレン委員会による調査報告書は次のに結論づけている。

 「ケネディ元大統領暗殺はオズワルドによる単独の犯行である。オズワルドは、テキサス州(Texas)ダラス(Dallas)でパレード中の元大統領を、教科書倉庫ビルの6階の窓から狙撃した。2発の弾丸が元大統領の命を奪った。オズワルド以外の共犯者が存在したとの証拠は発見されていない」

 分析チームによるこの論文は「応用統計学年報(Annals of Applied Statistics)」最新号に掲載されている。

 写真は暗殺事件の翌日、逮捕されたオズワルド(中央)を射殺するジャック・ルビー(Jack Ruby、本名はジャック・ルーベンシュタイン、Jack Rubinstein)。ルビーはダラスのナイトクラブ経営者(1963年11月24日撮影)。(c)AFP/WARREN COMMISSION