フィル・スペクター、公判で無罪を主張 - 米国
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【ロサンゼルス/米国 26日 AFP】音楽プロデューサーのフィル・スペクター(Phil Spector、67)にかけられている殺人容疑の公判が25日に行われた。公判で検察官らは、スペクターが「女性に対する数々の暴力的な経歴を持つ」男であり、その一つが殺害にまで至ったものであると主張を展開した。
ビートルズ(The Beatles)、ティナ・ターナー(Tina Turner)、ライチャス・ブラザーズ(The Righteous Brothers)、ロネッツ(The Ronettes)、ラモーンズ(The Ramones)など数々の著名人と仕事をし、1960年代に「ウォール・オブ・サウンド(Wall of Sound)」という独自のレコーディング技術を生み出したスペクターは、天才的音楽家とまで称される音楽プロデューサー。「Da Doo Ron Ron」、「Be My Baby, Baby」、「You’ve Lost That Lovin’ Feelin」などのヒット曲を生み出している。
そんなスペクターが問われているのは、2003年2月3日、自宅で当時40歳の女優ラナ・クラークソン(Lana Clarkson)を射殺したという容疑。今回の裁判は、1995年のO・J・シンプソン(O.J.Simpson)以来となるセレブ裁判だが、これまでに法廷争いやスケジュールの関係で幾度となく延期されてきた。
スペクターは、黄褐色のスーツに身を包み、トレードマークとなっている厚底の靴を履き、襟元が開いた紫色のシャツを着て裁判所に登場した。裁判が始まると、そわそわして緊張した様子だった。
検察官らは、スペクターを数十年に渡り女性に暴力を繰り返してきた男だと述べた。
「スペクター氏は、ある状況になると一変し、とても悪意に満ちた男になるという明確な証拠があります」アラン・ジャクソン(Alan Jackson)検察官はロサンゼルス高等裁判所で行われた公判でこのように語った。
「ラナ・クラークソンの口内に銃口をねじ込み、射殺した男であるということを明確に示してくれる証拠があります」
ジャクソン検察官はさらに、スペクターに銃器で脅された経験を持つという複数の女性を証人として呼んでいると語った。彼女たちは、別れ際に暴力を振るわれ脅されたという。
「証拠を見れば、彼(スペクター)が銃を用いて女性を脅すという数々の暴力的な経歴を持った男だということは明らかです」
「ラナ・クラークソンは、何十年にもわたりスペクターが暴力を振るってきた最後の女性となったのです」
公判では、事件現場の写真も公開された。そこでは、スペクターの自宅の広間で、発砲によるものと見られる血を顔から流し、椅子に倒れ込んだクラークソンの痛々しい姿が写っていた。
ジャクソン検察官によれば、事件当夜、スペクターの自宅前で待っていたAdriano De Souza運転手が、スペクターが銃を手に持ち、「殺してしまったかもしれない」と言いながら自宅から出てくるのを見たという。その証拠として、De Souza運転手が直後に警察に通報した音声が公開された。スペクターが銃を握りしめた姿を見たと言い、「主人が誰かを殺したかもしれない」と語るDe Souza運転手の声が録音されていた。
クラークソンが殺害された状況は、スペクターがそれまでに女性に振るってきた暴力行為と類似しているとジャクソン検察官は述べた。「パターンはこうです。容疑者は酒を飲んでいる。2人は恋愛関係にある。自宅で2人だけ。女性が家を出ようとする。容疑者は激怒し銃を突きつける」
クラークソンは、務めていたナイトクラブで初めてスペクターと出会い、その数時間後にはスペクターの自宅で死亡した。第二級殺人罪で有罪となれば、スペクターには最長15年の刑が言い渡される。
事件の数週間前には自身を「相対的に異常」、「自分の中の悪魔に苦しめられている」と述べていたスペクター氏だが、この殺人容疑については罪を認めていない。2003年のエスクァイア(Esquire)誌のインタビューでは、クラークソン自らが発砲し、自殺を図ったと述べている。
クラークソンは87年の映画「アメリカン・パロディ・シアター(Amazon Women on the Moon)」や90年の「The Haunting of Morella」などへ出演してきたが、死亡する直前には、仕事は低迷していたようであり、スペクターの弁護団は、クラークソンが自らのキャリアや経済状態を悲観し、精神的に不安定な女性だったと描く予定のようだ。
弁護団の1人でニューヨーク・マフィア、ジョン・ゴッティ(John Gotti)を弁護したことで有名なBruce Cutler弁護士は、冒頭陳述でクラークソンは自殺だと述べ、警察はクラークソンがスペクターの自宅で死亡したと聞いて、スペクターによる殺人だと早急に判断してしまったと主張した。
またCutler弁護士は、証人として出廷予定の女性たちは、クラークソンの死後もスペクターと関係を持っていた女性たちであることを理由に、証言に信用性はないと語った。
また、複数の事件で疑われながらも、スペクターに犯罪歴がないことも主張した。「フィリップ(スペクター)は、いかなる傷害罪にも問われたことはない」
写真は、同日、公判でジャクソン検察官の陳述に耳を傾けるスペクター。(c)AFP/GABRIEL BOUYS
ビートルズ(The Beatles)、ティナ・ターナー(Tina Turner)、ライチャス・ブラザーズ(The Righteous Brothers)、ロネッツ(The Ronettes)、ラモーンズ(The Ramones)など数々の著名人と仕事をし、1960年代に「ウォール・オブ・サウンド(Wall of Sound)」という独自のレコーディング技術を生み出したスペクターは、天才的音楽家とまで称される音楽プロデューサー。「Da Doo Ron Ron」、「Be My Baby, Baby」、「You’ve Lost That Lovin’ Feelin」などのヒット曲を生み出している。
そんなスペクターが問われているのは、2003年2月3日、自宅で当時40歳の女優ラナ・クラークソン(Lana Clarkson)を射殺したという容疑。今回の裁判は、1995年のO・J・シンプソン(O.J.Simpson)以来となるセレブ裁判だが、これまでに法廷争いやスケジュールの関係で幾度となく延期されてきた。
スペクターは、黄褐色のスーツに身を包み、トレードマークとなっている厚底の靴を履き、襟元が開いた紫色のシャツを着て裁判所に登場した。裁判が始まると、そわそわして緊張した様子だった。
検察官らは、スペクターを数十年に渡り女性に暴力を繰り返してきた男だと述べた。
「スペクター氏は、ある状況になると一変し、とても悪意に満ちた男になるという明確な証拠があります」アラン・ジャクソン(Alan Jackson)検察官はロサンゼルス高等裁判所で行われた公判でこのように語った。
「ラナ・クラークソンの口内に銃口をねじ込み、射殺した男であるということを明確に示してくれる証拠があります」
ジャクソン検察官はさらに、スペクターに銃器で脅された経験を持つという複数の女性を証人として呼んでいると語った。彼女たちは、別れ際に暴力を振るわれ脅されたという。
「証拠を見れば、彼(スペクター)が銃を用いて女性を脅すという数々の暴力的な経歴を持った男だということは明らかです」
「ラナ・クラークソンは、何十年にもわたりスペクターが暴力を振るってきた最後の女性となったのです」
公判では、事件現場の写真も公開された。そこでは、スペクターの自宅の広間で、発砲によるものと見られる血を顔から流し、椅子に倒れ込んだクラークソンの痛々しい姿が写っていた。
ジャクソン検察官によれば、事件当夜、スペクターの自宅前で待っていたAdriano De Souza運転手が、スペクターが銃を手に持ち、「殺してしまったかもしれない」と言いながら自宅から出てくるのを見たという。その証拠として、De Souza運転手が直後に警察に通報した音声が公開された。スペクターが銃を握りしめた姿を見たと言い、「主人が誰かを殺したかもしれない」と語るDe Souza運転手の声が録音されていた。
クラークソンが殺害された状況は、スペクターがそれまでに女性に振るってきた暴力行為と類似しているとジャクソン検察官は述べた。「パターンはこうです。容疑者は酒を飲んでいる。2人は恋愛関係にある。自宅で2人だけ。女性が家を出ようとする。容疑者は激怒し銃を突きつける」
クラークソンは、務めていたナイトクラブで初めてスペクターと出会い、その数時間後にはスペクターの自宅で死亡した。第二級殺人罪で有罪となれば、スペクターには最長15年の刑が言い渡される。
事件の数週間前には自身を「相対的に異常」、「自分の中の悪魔に苦しめられている」と述べていたスペクター氏だが、この殺人容疑については罪を認めていない。2003年のエスクァイア(Esquire)誌のインタビューでは、クラークソン自らが発砲し、自殺を図ったと述べている。
クラークソンは87年の映画「アメリカン・パロディ・シアター(Amazon Women on the Moon)」や90年の「The Haunting of Morella」などへ出演してきたが、死亡する直前には、仕事は低迷していたようであり、スペクターの弁護団は、クラークソンが自らのキャリアや経済状態を悲観し、精神的に不安定な女性だったと描く予定のようだ。
弁護団の1人でニューヨーク・マフィア、ジョン・ゴッティ(John Gotti)を弁護したことで有名なBruce Cutler弁護士は、冒頭陳述でクラークソンは自殺だと述べ、警察はクラークソンがスペクターの自宅で死亡したと聞いて、スペクターによる殺人だと早急に判断してしまったと主張した。
またCutler弁護士は、証人として出廷予定の女性たちは、クラークソンの死後もスペクターと関係を持っていた女性たちであることを理由に、証言に信用性はないと語った。
また、複数の事件で疑われながらも、スペクターに犯罪歴がないことも主張した。「フィリップ(スペクター)は、いかなる傷害罪にも問われたことはない」
写真は、同日、公判でジャクソン検察官の陳述に耳を傾けるスペクター。(c)AFP/GABRIEL BOUYS