【ハーグ/オランダ 27日 AFP】ハーグ(Hague)の国際刑事裁判所(International Criminal Court、ICC)は27日、ダルフール(Darfur)紛争中に戦争犯罪を犯したとして、スーダンの閣僚と同国政府の支援を受けた武装組織「ジャンジャウィード(Janjaweed)」指導者の2人の名前を挙げた。

 ICCのルイス・モレノオカンポ(Luis Moreno-Ocampo)主任検察官は、人道に対する罪と戦争犯罪51件に関与したとして2人を非難。殺人、拷問、大量強姦などが含まれる。国連(UN)によると、発生以来5年目を迎えるダルフール紛争では20万人が死亡したという。

 名前が挙げられたのは、Ahmed Harounスーダン人道問題相とジャンジャウィードの指導者Ali Kosheib氏の2人。Haroun人道問題相は、ダルフール問題の担当閣僚を務めた経歴を持つ。2人はダルフール紛争の発生以来、最悪の残虐行為を行ったとして非難されており、実際に訴追されれば、同紛争関係者で初めて戦争犯罪法廷の被疑者となる見通しだ。

 モレノオカンポ主任検察官は訴追対象の2人について、「ダルフール地方の民間人に対し、共謀して犯罪行為を行い、戦争犯罪法廷の被告として正式訴追するのに十分な根拠がある」と語っている。

■スーダン政府はICCの妥当性を否定

 これに対し、スーダン政府は「(ICCは)スーダン国民への司法権限を有しない」との声明を発表し、ICCによる訴追の妥当性を否定。モハメド・アリ・マルディ(Mohammed Ali al-Mardi)スーダン法相は、「ダルフール紛争の戦争犯罪被疑者についてはわが国の司法制度を通じて、われわれ自身が起訴する」と語っている。

 写真は、ヌヤラ(Nyala)の難民キャンプで食料配給を待つ子どもたち。国連報告によると、ダルフール紛争では2003年以降、合計250万人が家を追われ難民となっている。(2月21日撮影)(c)AFP/MUSTAFA OZER