【ソウル/韓国 5日 AFP】ソウル中央地裁は5日、韓国自動車最大手、現代・起亜自動車グループ(Hyundai Kia Automotive Group)会長の鄭夢九(チョン・モング、Chung Mong-Koo)被告(68)に対し、横領と背任の罪で懲役3年の実刑判決を下した。

 鄭会長は、630億ウォン(約81億円)を不正に蓄財し、政治家や当局者への贈賄に使っていたとして起訴されていた。

 ソウル中央地裁のキム・ドンオ(Kim Dong-Oh)裁判長は、「起訴状に記されたすべての罪状において、被告を有罪を認める」と判決文を読み上げた。
「被告の行いが、法に照らして犯罪行為に該当することには疑いの余地がなく、本法廷としては被告の責任を厳しく問わざるを得ない」

 鄭会長は前年4月に1度逮捕され、2か月後に保釈金10億ウォン(約1億3000万円)を支払って保釈されている。

■ 経済への影響を主張し、寛大な処置を求める

 検察側は、「被告人の罪は重大だ」として懲役6年を求刑していた。これに対し弁護側は、鄭会長の身柄を拘束すれば、自動車業界のみならず韓国経済全体にさらなる打撃となると主張し、寛大な処置を要求していた。

 現代自動車(Hyundai Motor)は韓国内の自動車市場の7割を抑え、世界市場でも6位に入る大手メーカー。鄭会長をめぐる事件の余波で、同社やグループ企業の起亜自動車(Kia Motors)は、欧米への拡張戦略を延期した。

 現代自動車は労働組合との間でも問題を抱え、強いウォンを背景に攻勢をかける日本車との価格競争や売り上げの伸び悩みなどにも悩まされている。

 写真は5日、判決後法廷を後にする鄭会長(中央)。(c)AFP/JUNG YEON-JE