【セントルイス/米国 15日 AFP】2002年10月から行方がわからなくなっていたショーン・ホーンベック(Shawn Damian Hornbeck)君(15)が12日、ミズーリ州セントルイス(St. Louis)郊外のカークウッド(Kirkwood)のアパートで無事保護された。「空白の4年間」にホーンベック君の身の上に何が起こっていたのか。謎は深まっている。ホーンベック君は、2002年に、自転車で友人の家に向かう途中で行方不明になっていた。

 8日に学校から帰宅途中に行方がわからなくなったベン・オーンビー(Ben Ownby)君(13)の捜索のために、容疑者のアパートに入った捜査員が、オーンビー君と一緒にいたホーンベック君を発見した。このアパートは、ホーンベック君の自宅から車で1時間足らずの距離にある。

 13日にはホーンベック君が通っていた小学校で記者会見が開かれ、母親のPam Akersさんは涙声で「11歳で誘拐された息子は、私の心の中で成長を続けました。実際に成長した姿とは多くの食い違いがあり、それを克服していかなければなりません。何だかまだ夢を見ているようです。でも、今回ばかりは、この4年半見続けてきた『悪夢』ではなく、いい夢です」と語った。

 ホーンベック君からは、この4年間に一体何があったのかは一切語られなかった。義父のCraig Akersさんは「いずれ語るときが来るでしょう。語りたくないのなら、語らせるべきではありません」 と話した。

■目撃情報から容疑者にたどり着く

 警察は14日、オーンビー君を誘拐した疑いで、このアパートに住んでいたマイケル・デブリン(Michael Devlin)容疑者(41)を逮捕した。ホーンベック君の誘拐については容疑が固まり次第、別件についても逮捕する予定という。捜査員はCNNに対し、「オーンビー君の誘拐現場で目撃された白いニッサンを見かけたので、持ち主であるデブリン容疑者を事情聴取し、犯人と特定した」と語った。

 2人は、セントルイスの小児医療センターで検査を受けてから自宅に戻った。

 ホーンベック君とよく遊んだという近所の少年が13日にFox Newsに話したところによると、ピザ店の店長だった同容疑者は、ホーンベック君を「自分の息子」だと話し、ショーン・デブリン(Shawn Devlin)と名乗らせていたという。「彼は、アパートの前でよく自転車に乗って遊んでいた。2人で夜遅くまで遊び、パトカーに乗せられて帰宅したことも何度かあった」と語った。

 この少年の母親も、ホーンベック君を息子のようにかわいがっていたという。「4年間も親元から離れていたなんて、知らなかったわ。知っていたら、何としてでも彼の両親に連絡を取ったのに。彼の両親に申し訳なく思います」

 近所の54歳の女性は、ロサンゼルス・タイムズ(Los Angeles Times)紙のインタビューで、「彼はちっとも落ち込んだ感じではなかった。誰かに『あの男に誘拐されたんだ』と言うこともできたでしょうに」と、驚きを隠せない様子だった。

 同容疑者の25年来の上司であるMike Prosperiさんは、CNNに対し、「誰もが、彼は1人暮らしだと信じていた。2人の分までピザを持って帰ることもなかったし…」と語った。

 同容疑者には前科はないものの、自分の駐車スペースに他の車が止めてあったことでけんかとなり、警察沙汰になったことが何回かあるという。

 ホーンベック君の義父は13日、ABCテレビに対し、「逃げると殺すぞと脅されていたから、逃げることができなかったのだろう」と語った。

写真は米連邦捜査局(FBI)が2002年に配布したShawn Damian Hornbeck君のポスター。(c)AFP/FBI