【7月29日 AFP】東京電力(TEPCO)が国内外の専門家で構成する第三者委員会「原子力改革監視委員会」の4回目会合が26日に開かれ、福島第1原子力発電所からの放射性汚染水の放出問題について出席者からは透明性の欠如を指摘する声や、「東電は自分たちのやっていることが分かっていないのではないか」など厳しい批判が相次いだ。

 かねて疑われていた福島第1原発から海への汚染水流出について、東電は前週になって初めて認めた。外国人2人、日本人4人の専門家からなる原子力改革監視委員会のデール・クライン(Dale Klein)委員長(米原子力規制委員会元委員長)は「安全側に立った意思決定の姿勢に欠けている。国民に十分な情報を提供していない」「東電は自分たちのやっていることが分かっていないのではないか。計画がなく、全力を尽くして環境と人々を守ろうとしていないと映る」などと批判した。

 東電ではこれまで、発がんリスクのある放射性物質の濃度が、採取した地下水中で上昇していると報告していたが、汚染水の流出は原発の敷地内にとどまっていると主張していた。しかし、その主張に規制当局が疑念を募らせる中、ここに来て検出結果の公表が遅れたことを認めた。同じ会見で東電の広瀬直己(Naomi Hirose)社長は、ここ数か月の間に汚染水流出の可能性を警告する機会が少なくとも4回はあったと述べ、「3.11の教訓を学んで対応できていない」として謝罪した。また自らが1か月間、10%の減給処分を受けることを発表した。

 クライン委員長は会見の冒頭、汚染水流出に関する東電の対応に「不満を表明したい。汚染水問題がこれまでの福島(第1原発)の事故処理と改革の進歩を後退させると危惧(きぐ)している」と述べた。また東電による情報隠しではないかとの報道陣の質問に対してはこれを否定し、処理計画は適切だが、それを公表するまでに時間がかかりすぎたとし、「問題が発覚した段階ですぐに分かっていること、分からないことを発表する必要がある」と忠告した。

 バーバラ・ジャッジ(Barbara Judge)副委員長(英原子力公社名誉会長)も、東電の情報公開性の欠如に「本当にがっかりした」と述べ、「(原発の)廃炉作業は複雑で難しいプロセスであるため、今後も問題が生じることは必至だろうが、次に問題が起きたときには今回の誤りから学んで人々にいち早く、状況とそれを改善する東電の計画を知らせてもらいたい」と語った。

 ジャッジ氏はまた、東電の企業風土に問題があるとし「多くの企業同様、閉鎖的で効率性を優先する文化があり…議論する準備ができたと思えるまでは、自分たちだけで問題解決を図ろうとする」と指摘し、「効率よりも安全を優先する文化」を歓迎すると述べた。(c)AFP/Harumi OZAWA