【7月11日 AFP】カナダ東部ケベック(Quebec)州ラックメガンティック(Lac-Megantic)で6日に原油輸送列車が脱線・爆発炎上した事故で、同州の警察は10日、死者は50人に上ったとみられると発表した。

 警察はこれまでに20人の死亡が確認され、30人が行方不明になっていると発表した。警察によると行方不明者全員が死亡したとみられており、警察は不明者の家族に連絡したという。身元が確認された犠牲者は1人にとどまっている。

■手動ブレーキのかけ忘れが原因か
 
 警察の発表に先立ち、列車を運行していた鉄道会社モントリオール・メーン&アトランティック・レールウエー(Montreal Maine & Atlantic RailwayMMA)のエドワード・バークハート(Edward Burkhardt)最高経営責任者(CEO)は同日、機関士の1人がいくつかの手動ブレーキを正しくかけていなかったことが原因だったとみられると述べた。

 事故現場を訪れたバークハート氏は記者団に対し、「手動ブレーキが正しくかけられていなかった。この責任は機関士にある。ブレーキがきちんとかかっていれば、この事故は起こらなかっただろう」と話した。

 事故を起こした原油輸送列車は、ラックメガンティックから少し離れたナント(Nantes)で乗員交代のために停車していた。乗務員がいない列車はラックメガンティックに向かって坂を下り始め、カーブで脱線して数両の貨車が爆発した。

 バークハート氏はそれまで、事故の原因はナントの消防隊が機関車のうちの1両で発生した小規模な火災を消すためにエンジンを停止させたことで、空気ブレーキが解除されたことだと指摘していた。しかしバークハート氏は10日、空気ブレーキの解除は「事故発生の重要な要因」だったと指摘しつつも、「機関車の空気ブレーキが解除されたために列車が動き出したということは、手動ブレーキがかかっていなかったということだ」と述べた。

■事故は防げなかったのか

「かかっていたブレーキを解除した者はいないと思う。当社の社員が、最初からブレーキをかけ忘れていたのだろう」と述べたバークハート氏はさらに、「(機関士が)一部の手動ブレーキをかけたのは確かだろう。問題は、それらが正しくかけられていたかどうかだ。われわれは当初、列車にあった11の手動ブレーキをかけたという機関士の言葉を信じていたが、事実はそうではなかった可能性があるとみている」と述べた。

 バークハート氏はまた、ナントの消防隊が機関車のエンジンを停止させたことについては、「彼らは自分たちが正しいと思うことをした」と語った。

 一方、ナンテの火災現場に呼ばれたMMAの線路管理の監督者は、エンジンが停止していたことには気付いたが、ディーゼル機関車については詳しくないため、「結果として何が起こり得るかについては認識していなかった」と話している。この監督者はすぐにMMAの操車係に連絡したが、エンジンをかけられる人を現場に呼んで、列車が滑り落ちるのを防ぐにはすでに手遅れの状態だった。(c)AFP/Clement Sabourin