【7月10日 AFP】米サンフランシスコ国際空港(San Francisco International Airport)で起きた韓国アシアナ航空(Asiana Airlines)ボーイング(Boeing)777型機の着陸失敗事故で、操縦士の1人が事故発生の数秒前、滑走路が見えなかったと話していることが分かった。米運輸安全委員会(National Transportation Safety BoardNTSB)が9日、発表した。同機の着陸体勢がいかに通常の着陸から逸脱していたかを示している。

 事故機に搭乗していた操縦士4人のうち3人の聞き取り調査の結果を公表したNTSBのデボラ・ハースマン(Deborah Hersman)委員長によると、副操縦士の交代要員として補助座席に座っていたパイロットは、機首が空の方に持ち上がったため、自分が座っていた位置からは滑走路が見えなかったと証言した。

 また、高度500フィート(約150メートル)の時点で、教官役の操縦士が管制塔に「飛行高度が低すぎることに気付いた」と伝えたという。教官役はスロットル(エンジン出力を操作するレバー)を前方に押そうとしたが、別の操縦士がすでにこれを行っていたという。機長の交代要員だった4人目の操縦士は、同機が地面に衝突した時、操縦室ではなく客室にいた。

 事故をめぐっては、原因が人的ミスにあったか否かに注目が集まっている。今回の発表では、事故機で教官役を務めていた操縦士が、その立場に立ったのは初めてだったことも確認された。事故では中国人女子高生2人が死亡し、180人以上がけがをした。病院関係者によると、うち5人は現在も重体だという。(c)AFP