【7月10日 AFP】カナダ東部ケベック(Quebec)州ラックメガンティック(Lac-Megantic)で6日、原油輸送列車が脱線・爆発炎上し、少なくとも13人が死亡、三十数人が行方不明となっている事故で、事故列車を運行していた鉄道会社の最高経営責任者は9日、事故の原因は消防隊員らがブレーキを解除したことにあると発表した。

 列車は事故の前、ラックメガンティックから約13キロメートル西のナント(Nantes)で乗員交代のために停車していた。モントリオール・メーン&アトランティック・レールウエー(Montreal Maine & Atlantic Railway)のエドワード・バークハート(Edward Burkhardt)最高経営責任者(CEO)によると、5両あった機関車のうちの1両で発生した小規模な火災を消し止めるために呼ばれた消防隊が、列車のブレーキを解除したという。

 バークハートCEOはカナダの仏語日刊紙ラプレス(La Presse)に対し、ナントの消防隊員らは「火を消火器で消し止めたが、そのために先頭の機関車のエンジンを停止させた。これが、事故につながった」と述べた。列車のブレーキは機関車を動力源としており、機関車のエンジンが停止したことでブレーキも解除され、列車はラックメガンティックへ向けた坂道を下り始めたと、同CEOは説明している。

 同社がエンジン停止の知らせを受けた時には、列車はすでに町に到達していたという。列車は米ノースダコタ(North Dakota)州を出発し、カナダ東部ニューブランズウィック(New Brunswick)州の精油所に向かっていた。同CEOは、今後は列車を無人で放置しないよう徹底すると約束するとともに、内部調査を開始したことも明かした。一方、ナンテ消防局は同社の主張を否定。機関車火災の消火に当たった12人の隊員は、全ての適切な手順を踏んでいたと主張した。

■住民の間に渦巻く怒り

 6日の事故では、周辺4区画が壊滅的な被害を受け、建物30棟が倒壊。約6000人の住人のうちおよそ2000人が避難を余儀なくされた。9日には多くの住民が帰宅し始めた。

 バークハートCEOはカナダ放送協会(CBC)に対し、町民の間には「たくさんの怒りが生まれているのは承知している」と述べ、9日に予定していた現地入りを延期すると発表。「銃で撃たれないといいんだが」と付け加えた。

 町民たちはAFPの取材に、バークハート氏に対する怒りをあらわにしている。53歳の男性は「怖がっているのか?」と語った。また別の住民も、「少なくとも私たちに謝罪すべき。そうすれば少しは感情もおさまる」と述べた。(c)AFP/Clement Sabourin