【7月9日 AFP】米サンフランシスコ国際空港(San Francisco International Airport)で韓国のアシアナ航空(Asiana Airlines)のボーイング(Boeing)777型機が着陸に失敗し、2人が死亡した事故で、米運輸安全委員会(National Transportation Safety BoardNTSB)は8日、事故機の操縦士らへの聞き取りを開始した。事故をめぐっては、操縦士による人的ミスが原因だった可能性を示唆する事実が次々と明らかになっている。

 NTSBのデボラ・ハースマン(Deborah Hersman)委員長は、運航に直接携わる運航乗員4人の聞き取りを開始したと発表した。

 事故機は6日に着陸に失敗した際、目標速度を大幅に下回る106ノットで飛行していたことが、飛行データから分かっている。ハースマン委員長は「滑走路の端を越える際の目標速度は137ノットだ」と述べ、飛行速度の修正は乗員に課された任務の1つだと加えた。「乗員は、飛行機を空港に向けて安全に接近させる責任がある。(航空管制官)は飛行機の速度調整の責任を負わない」(ハースマン委員長)

 アシアナ航空によると、事故機を操縦していたイ・ガングク(Lee Kang-Kuk)氏(46)は、ボーイング777型機の操縦については訓練段階にあった。他機種の飛行時間は9000時間を超えていたものの、ボーイング777型機については43時間の操縦経験しかなかったという。だがハースマン委員長は米CNNテレビに対し、操縦ミスが事故の原因と断定するにはまだ早いと注意を促している。

■死亡した2人は中国の高校生

 一方、中国国営メディアによると、事故で死亡した2人は、中国東部・浙江(Zhejiang)省の高校生、葉夢円(Ye Mengyuan)さん(16)と王琳佳(Wang Linjia)さん(17)だった。

 サンフランシスコ(San Francisco)消防局のジョアン・ヘイズホワイト(Joanne Hayes-White)局長は8日、記者団に対し、死亡した少女の1人は現場に急行した消防車にはねられた可能性があると発表している。サンマテオ(San Mateo)郡の検視官はこれより先、地元紙サンフランシスコ・クロニクル(San Francisco Chronicle)に対し、もう1人の少女は飛行機から投げ出された際に負った傷が原因で死亡したとみられると語っている。

 同紙によると、2人はサンフランシスコ南郊にあるスタンフォード大学(Stanford University)を訪れ、同地域のキリスト教系学校で開催されるサマーキャンプに参加する予定だった。(c)AFP/Romain RAYNALDY