【5月7日 AFP】米サンフランシスコ(San Francisco)湾に架かるサンマテオ橋(Hayward-San Mateo Bridge)の上で4日夜、花嫁と看護師の友人ら9人を乗せたリムジンが炎上し、花嫁を含む5人が死亡した。リムジンから出火した原因は不明。

 検視官によると、後部座席にいた犠牲者は、車両前部の運転席との仕切りから必死に逃げようとした状態で亡くなっていた。

 カリフォルニア・ハイウエー・パトロール(California Highway Patrol)のマイク・マスカリッチ(Mike Maskarich)警部によると、リムジンには定員8人のところ、9人が乗っていた。

 新婦のネリサ・フォハス(Neriza Fojas)さん(31)はフィリピン出身で、この日は友人8人とリムジンで近郊のフォスターシティー(Foster City)で行われる自分の結婚パーティーに向かう途中だった。

 地元紙サンフランシスコ・クロニクル(San Francisco Chronicle)が掲載した運転手のオービル・ブラウン(Orville Brown)さんの話によると、リムジンが炎上する前、フォハスさんの友人の1人が後部座席から運転席との仕切りを叩き、ブラウンさんに何かを尋ねたという。「音楽がうるさくてよく聞こえなかったが、たばこを吸ってもいいかと聞いたんだと思う。私はリムジンの持ち主が車内での喫煙を認めていないと答え、それにあと4分で到着すると伝えた」

 だが、15秒もしないうちに、再び仕切りをたたく音がした。ブラウンさんが仕切りを下げると、後部座席の女性たちが口々に「火事よ!」「車を止めて!」と叫んでいたという。

 ブラウンさんは数人を助け出したが、全員を救うことはできなかった。「神のご加護で何人かは逃げ出せたが、もっと助けたかった」と述べた。また、米CNNには「これだけ長いリムジンが燃え上がるさまは、まさに悪夢だった」と語った。

 サンマテオ(San Mateo)郡検視官のロバート・フォークロルト(Robert Foucrault)氏は、同郡検視局に務める21年間で目にした最も悲惨な事故の一つだと語った。

 花嫁のフォハスさんは来月、故郷のフィリピンでも再び結婚式を行う予定だったという。(c)AFP