【4月25日 AFP】(一部更新)バングラデシュの首都ダッカ(Dhaka)近郊のサバール(Savar)で24日に起きた8階建てビルの崩壊現場では、夜を徹して生存者の救出活動が続けられ、25日朝までに159人の死亡が確認された。負傷者は1000人を超えている。国内では、バングラデシュで安価に衣料製品を製造する海外アパレル大手に対する批判が高まっている。

 崩壊した商業ビルには複数の欧州ブランド向けの衣料を生産する縫製工場が入居しており、人権団体「バングラデシュ労働連帯センター(Bangladesh Center for Workers Solidarity)」によると約3000人が働いていた。

 AFPの取材に応じた消防当局者によると、ビルは「わずか数分でパンケーキのように全体が崩れ落ちた。工場労働者の大半は逃げる間もなかった」という。現在もがれきの下から、閉じ込められた生存者が助けを求める弱々しいうめき声が聞こえるという。

 崩壊するビルからの避難に成功した人々の話によれば、事故発生前日の23日、ビルに亀裂が走っているのが見つかった。従業員らは一時退避したが、経営者らに仕事に戻るよう命じられたという。24歳の女性従業員は「仕事を再開するよう言われて工場内に戻ったが、1時間後、大音響とともにビルが崩れ落ちた」とAFPに語った。

 地元警察によれば、亀裂が見つかった時点で警察が工場の一時閉鎖を命じていたが、工場の経営者らはこれを無視したという。経営者らの行方は現在、不明という。

 バングラデシュには先進国の衣料品ブランドの下請け工場が多数あり、世界第2位の縫製品輸出国だが、安全管理の不徹底や作業環境の劣悪さが問題となっている。サバールでは2005年にも縫製工場ビルが崩壊し、70人以上が死亡する事故が起きているほか、2012年にはやはりダッカ郊外の欧米向け衣料品工場で火災が発生し、111人が死亡している。(c)AFP/Kamrul Hasan Khan