【12月3日 AFP】ブラジル当局は1日、米石油大手シェブロン(Chevron)に、先月リオデジャネイロ(Rio de Janeiro)州沖の大西洋で原油の流出が見つかった油井の閉鎖を命じた。

 11月、同州沖370キロのフラージ(Frade)鉱区近くにあるシェブロンが操業する油井のひとつから原油が流出しているのが見つかり、ブラジル当局は操業の一時停止を命じていた。ブラジル国家石油庁(ANP)によると、前週の調査で有害な硫化水素ガスがさらに検出され、この油井の閉鎖を命じた。

 同庁は、硫化水素ガスが存在していることを報告しなかったとしてシェブロンを批判したが、シェブロン側は「通常の監視を行っており、安全対策も実施されている」と反論している。

 同社は、ブラジル国家石油庁の決定を尊重し、ブラジル政府の要請に従うと発表した。当局によると現在、原油の流出は制御されている。シェブロンによると、フラージ油田の合計原油生産量は日量約7万9000バレルで、問題の油井の生産量はその10分の1未満だという。
 
 ブラジル政府は11月21日、シェブロンに2800万ドル(約22億円)の罰金を科した。同社がブラジル政府とリオデジャネイロ州政府から科される罰金は合計で1億4500万ドル(約113億円)を超える可能性がある。

 国家石油庁によると、ブラジル沖の巨大な新油田には、1000億バレルを超える採掘可能な高品質の原油が存在する可能性があるが、今回の原油流出で、この油田でのシェブロンの採掘権が脅かかされる可能性もある。(c)AFP