【10月30日 AFP】国際環境保護団体グリーンピース(Greenpeace)は28日、欧州連合(EU)全域で実施された原発の安全検査に「憂慮すべき欠落」があると批判した。特に、東京電力(TEPCO)福島第1原発の事故にもかかわらず「想定外の事態」についての検討が不十分だという。

 3月の東日本大震災で発生した日本の原発危機を受け、欧州委員会(European Commission)と各国の原発事業者は6月、世論の不安を取り除くためにEU域内の原発143基のストレステスト(耐性評価)を実施することで合意した。

 だが、これまでに発表された報告書をグリーンピースが分析したところ、「結果には憂慮すべき欠落」があったという。グリーンピースは、「福島で起きたような複数基の原子炉事故についても精査されるはずだったが、結果にはそのことが記載されていない。航空機墜落の危険性もストレステストに含まれているとされていたが、ほとんど触れられていない」と指摘した。

 グリーンピースによると、たとえばフランスなど、国の規制当局が原発事業者から独立している度合いが高い国では「より徹底したテストが行われた」が、英国とチェコ、スウェーデンは「十分な情報を発表しなかった」という。スロベニアは原発1基について全177ページの報告書を提出したが、チェコの原発6基についての報告書はわずか7ページだった。

 グリーンピースの原子力政策アドバイザー、Jan Haverkamp氏は、報告書では市町村の避難計画が無視され、原子炉の稼働年数が考慮されず、航空機事故や原子炉複数基の事故の危険性も軽視されていたと述べ、「われわれは、想定外の事態についても考えておかなければならないことを福島(原発事故)から学んだはずだ」と語った。

■EU委員は「最終報告ではない」と反論

 この批判に対し、欧州委員会のギュンター・エッティンガー(Guenther Oettinger)委員(エネルギー担当)は、グリーンピースの評価は8月15日までに提出を求めてられていた暫定報告書にもとづいたものだと反論した。

 エッティンガー氏は「原発事業者がすべての検査を終えてストレステストの最終結果を規制当局に提出する期限は10月31日。われわれはまだストレステストを実施している最中だ。規制当局は年末までに最終報告書を提出することになる。この最終報告書に不十分な点があれば、私は介入して改善を求めることを辞さない」と声明で述べた。(c)AFP