【9月13日 AFP】フランス南部マルクール(Marcoule)の放射性廃棄物処理施設で12日、爆発があり、1人が死亡、4人が負傷した。

 仏原子力庁(Atomic Energy CommissionCEA)によると、爆発があったのは仏電力公社(EDF)の子会社SOCODEIの低レベル放射性廃棄物処理施設セントラコ(CENTRACO)。フランス原子力安全局(ASN)は、事態は収束したと発表する一方で、負傷者のうち1人は重体であることを明らかにした。

 現地を訪れたナタリー・コシウスコモリゼ(Nathalie Kosciuscko-Morizet)エコロジー・持続的開発・運輸・住宅相は被害者の家族と面会した後に記者団に対し、「施設の内部、外部とも放射能は検出されていない」と述べ、放射能漏れの懸念はないと説明する一方、爆発の原因は不明だと語った。現在、フランス原子力安全局、憲兵、労働監督当局の3者による調査が行われているという。

 内務省は、施設の周辺住民に避難指示は出されておらず、施設内部に閉じ込められた作業員もいないと発表。また負傷者も被ばくはしておらず、犠牲者の死因も爆発によるものだと強調した。爆発について仏電力公社は「産業事故であり、原子力事故ではない」と強調し、事故があったタイプの溶融炉は、バルブやポンプ、治具などの金属と、作業員の防護服や手袋などの可燃物の2種類の廃棄物の処理に使われると説明した。

 パリ(Paris)のフランス放射線防護原子力安全研究所(IRNS)の専門家オリビエ・イスナール(Olivier Isnard)氏は、爆発時の溶融炉の放射線レベルは1キログラムあたり17ベクレルで、「とても、とても低く、環境への影響はないとみられる」と語り、そのことを確認するために周辺の草木や土、車両に積もったちりなどを採取して、放射線レベルの測定が行われるだろうと述べた。

 爆発事故があった施設は、この季節は観光客でにぎわうアビニョン(Avignon)から北に20キロの位置にある。マルクールはフランスの放射性廃棄物処理の中心地とみなされている。4つの民生用核施設のほか政府の国防関連核施設があり、約5000人が働いている。

 国際環境保護団体グリーンピース(Greenpeace)は、事故や現状に関する完全かつ透明な説明を早急に行うよう当局に求めた。(c)AFP