【8月17日 AFP】5日にノルウェーのスバルバル(Svalbard)諸島で、英国人学生ら13人のキャンプが1頭のホッキョクグマに襲われて1人が死亡、4人が重傷を負った事件で、このクマが人を襲った原因は歯痛だった可能性があると、専門機関が16日に発表した。

 このホッキョクグマはキャンプ地で13人を襲った後に射殺された。体重約250キロのオスだった。クマの死体を調べた獣医によると、「犬歯2本と多数の切歯で神経がむき出しになっていた。この激痛がクマの行動に影響を与えたはずだ」と説明した。

 このクマは老化、あるいは病気かけがのために、ホッキョクグマの通常の餌であるアザラシなどを食べることができなくなり、植物を食べて歯を傷つけた可能性があるという。「それが人を襲った一因かもしれない。飢えや痛みを感じている時のクマは攻撃性が増し、予想外の行動をとる」と獣医は説明した。

 クマの被害に遭った若者や引率者ら13人は、英国の学校野外活動団体「British Schools Exploring Society」の活動の一環で同地を訪れ、フォンポストブレーン(Von Postbreen)氷河近くでキャンプをしていた。襲われた1人、17歳のホレーショ・チャップル(Horatio Chapple)さんは死亡した。

 また重傷を負った少年のうち1人の父親は、英BBCに、かみつかれた息子の頭蓋骨に数本のクマの歯が刺さっていたと語った。ノルウェーの放送局TV2によると、スバルバル諸島でクマに襲われて死者が出たのは1995年以来だという。(c)AFP