【4月15日 AFP】米国内の空港で管制官が勤務中に居眠りをし、航空機が自力着陸せざるを得ない事態がこのところ相次いで起きていた問題で、米連邦航空局(Federal Aviation AdministrationFAA)の航空管制責任者ハンク・クラコウスキ(Hank Krakowski)氏が14日、辞任した。

 辞表を受け取ったFAAのランドルフ・バビット(Randolph Babbitt)局長は、航空管制システムを改革し、市民の信頼と安全を取り戻すと約束した。クラコウスキ氏の後任は、暫定的にデービッド・グリズル(David Grizzle)FAA首席顧問が務めるという。

■管制官1人体制、相次いだ「居眠り」

 米国では前月23日、ワシントンD.C.(Washington D.C.)のレーガン・ナショナル空港(Ronald Reagan National Airport)で1人で夜間勤務に当たっていた管制官が居眠りし、着陸しようとした旅客機2機が自力着陸を強いられる事件が発生。2機には合計165人の乗員乗客が乗っていた。

 FAA発表によると、シアトル(Seattle)の主要空港でも管制官の居眠りが数回起きており、直近では11日の早朝勤務シフトで発覚した。

 また、ネバダ(Nevada)州のリノ・タホ国際空港(Reno-Tahoe)では13日、管制官の居眠りによって、病人を救急搬送していた医療航空機が自力着陸を強いられた。

 さらに、テキサス(Texas)州ラボック(Lubbock)でも前月29日、空港管制塔が近郊のフォートワース(Fort Worth)空港への管制の移管に失敗し、管制官2人が職務停止処分となっている。

■管制ミス急増中、対策急務

 レーガン空港の事件に激怒したレイ・ラフード(Ray LaHood)米運輸長官は、国内の空港の職員配備状況の確認をバビットFAA局長に指示し、同空港では夜勤管制官を2人置くよう命じていた。

 相次ぐ空港管制官の居眠りに、バラク・オバマ(Barack Obama)大統領もついに14日、米テレビABCとのインタビューで問題に言及。管制官の人数が足りているか、十分な休息を取れているかなど、航空管制システムの見直しが必要だと述べた。

 FAAの2月の報告によると、2007年には1040件だった米航空管制をめぐるミスは、2010年には1887件と、81%も増加している。

 ニューヨーク(New York)のケネディ国際空港(JFK airport)では11日、仏エールフランス(Air France)の超大型旅客機エアバス(Airbus)A380と小型機が接触する事故が起きている。(c)AFP

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