【4月14日 AFP】東京電力(TEPCO)福島第1原子力発電所の事故について、ロシア国営原子力企業ロスアトム(Rosatom)のセルゲイ・キリエンコ(Sergei Kiriyenko)総裁は13日、チェルノブイリ(Chernobyl)ほど深刻ではないとの見方を示し、日本政府は事故レベルを誇大評価しているとの疑問を呈した。

 日本政府は12日、福島第1原発の事故レベルを、原発事故の深刻度を示す国際評価尺度(INES)で最も深刻な「レベル7」に引き上げた。これまで「レベル7」と評価されていたのは、1986年4月26日にウクライナ(旧ソ連)で起きたチェルノブイリ原発事故だけだった。

 しかしキリエンコ氏は、新興5か国(BRICS、ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)首脳会議のため訪問中の中国・三亜(Sanya)で記者団に対し、「なぜ日本側がこの決定を下したのか、わからない。放射能の問題というよりも、金融面からの判断ではないか」と疑念を示した。

 その上で、「保険をめぐる不可抗力条項と関連しているのではないか。今後、この問題を注視していく。奇妙なことだ」と述べ、日本政府が保険金会社の負担軽減を意図している可能性を示唆した。

 また、福島第1原発の現状について、当初は日本政府が事故レベルを過小評価していると考えていたが、今や状況は改善しつつあると指摘。「われわれの評価では、レベル5~6だ。現在はレベル6にも達していない」と語った。

 福島第1原発の深刻度を「レベル7」に引き上げた日本政府決定については、フランス放射線防護原子力安全研究所(IRSN)も12日、「チェルノブイリ級ではない」との見解を発表している。(c)AFP