【11月26日 AFP】(一部更新、写真追加)10月初めに南太平洋のトケラウ(Tokelau)諸島(ニュージーランド領)からアルミニウム製の小型ボートで海に乗り出したきり行方不明となっていた14~15歳の少年3人が24日、1420キロ離れたフィジー諸島沖を漂流しているところをマグロ漁船に発見され、61日ぶりに救出された。漂流中、少年らは1羽のカモメを食べただけで、あとは雨水や海水をすすって空腹をしのいでいたという。

 遭難直後のニュージーランド空軍の捜索では少年らを発見することができず、生存は絶望的とされ、地元アタフ(Atafu)島では葬儀まで営まれていた。

 当初、少年たちの漂流期間は50日間と報じられていたが、フィジー海軍関係者は「3人の少年たちは61日間、海を漂流していた」と語った。

 救助された少年らはフィジーの首都スバ(Suva)の病院で検査を受けている。

■奇跡の救出

 少年らを救出した漁船の一等航海士によると、少年らは「非常に痩せ細っていたが、漂流時の過酷な状況を考慮すれば、健康状態は良好」。ただ、発見が数日遅れていたら手遅れになっていた可能性が高いという。

 発見当時、ボートの中にはヤシの実が2個あるだけで、雨が降らずに飲み水の無くなった少年たちは、最後の手段に海水を飲み始めていた。

 同航海士は少年たちを救出したときの様子を語った。「本当に奇跡だったよ。漁船を少年たちのボートぎりぎりまで寄せて、助けは必要かと呼び掛けた。少年たちは『ええ。とっても』と返答した。少年たちはとても興奮していたよ」

 救出の知らせを受けた1人の少年の父親は、「奇跡だ」と信じられない面持ちでラジオ・ニュージーランドの取材に喜びを語った。(c)AFP