【10月13日 AFP】(一部更新、写真追加)チリ北部のサンホセ(San Jose)鉱山の落盤事故は13日未明(日本時間同日正午ごろ)、地下に閉じこめられている作業員33人の救出用カプセルが降ろされ、1人目の作業員、フローレンシオ・アバロス(Florencio Avalos)さん(31)が事故から69日ぶりに地上に引き上げられた。

 テント生活を続け、救出作業を見守ってきた数百人の家族たちは歓声をあげ、カプセルから出たアバロスさんをセバスティアン・ピニェラ(Sebastian Pinera)大統領が出迎えた。

 アバロスさんは、地下に閉じ込められている作業員たちの日常生活をビデオで撮影し、地上に送っていた人物だ。アバロスさんは地上に到達した瞬間、この歴史的瞬間を伝えようと世界中から詰め掛けていた数千人の報道陣の注目を一身に集めた。

 アバロスさんを地上に引き上げた救出用カプセルはすぐ地下に下ろされ、約1時間後にマリオ・セプルベダ(Mario Sepulveda)さん(39)が地上に引き上げられた。

 引き続き、フアン・イラネス(Juan Illanes)さん(52)、そして唯一のボリビア人、カルロス・ママーニ(Carlos Mamani)さんと、順次、引き上げられる予定だ。アバロスさんの弟、レナン(Renan Avalos)さんも、地下で引き上げの順番を待っている。

■予想よりスムーズに進む救助作業

 エッフェル塔(Eiffel Tower)を縦に2つ重ねた長さに相当する622メートルの縦穴を使って1人を引き上げる所要時間は約15分。さらに、カプセルを再び地下に降ろす時間が25分から30分かかり、作業員をカプセルに収容する時間も必要なため、最終的に作業員1人当たりの救出には約1時間を要するとみられていた。

 だが、アバロスさんの救出に要した時間は予想より短かったため、現地時間14日夜とみられていた全員が救出されるまでの時間も短縮される可能性もある。

 地上に戻った作業員は最大で3人の家族と会い、簡単な診察を受けた上でヘリコプターで近郊の病院に運ばれ、少なくとも2日間の健康検診を受ける。

 すでに地上に生還したアバロスさんを含め、8月5日の落盤事故発生から地下での生活を続けてきたチリ人32人とボリビア人1人の作業員たちは、同様の事故としては最長となる生存記録を更新している。

 チリのメディアは、作業員たちは救出後に体験記の出版や映画化のオファーを受けることを期待して、報道機関の取材にはあまり語らない可能性もあると伝えている。(c)AFP/Marc Burleigh

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