【5月26日 AFP】(写真追加)シンガポール東部沖で25日早朝、タンカーと貨物船が衝突し、破損したタンカーから原油約5000トンが流出した。

 タンカーを運航していたマレーシアの運航会社AETは26日、流出した原油の拡散を緊急対応チームがおおむね食い止めたと発表した。

 流出した原油について、同社広報はAFPの取材に対し「大体食い止められており、汚染除去作業を行っている海域から外へは広がらないだろう」と述べた。同社では24時間おきに状況の更新を発表している。

 衝突したのはマレーシア船籍のタンカー「MTブンガ・クラナ3(MT Bunga Kelana 3)」とカリブ海の島国、セントビンセント・グレナディーン船籍の貨物船「MV ウェイリー(MV Waily)」。シンガポール海事港湾庁によると、二重船体のタンカーの左舷部分が破損し、運搬していた約6万2000トンの原油のうち約5000トンが流出した。

 衝突から数時間後には、流出はシンガポール東部沖の幅1キロ、長さ約4キロの範囲に及んだ。26日時点で除去されていない原油がどれだけ残っているかの推計については明らかにされていない。

 AETは26日に発表した声明で「事故によって船体が大きく損傷を受け、軽質原油が流出したが、現在専門家のチームがボートを使って汚染除去を行っている。作業は今朝また再開され、万が一沿岸部に原油が到達した場合に備え、海岸線にさらに100人以上を投入した」と発表した。

 チャンギ国際空港(Changi Airport)近隣区域の海岸沿いの施設や自治体に対し、シンガポール政府が原油流出による影響に備えるよう警告を発したことを受け、シンガポールの環境活動家らは除去作業の進ちょくに関する報告に注目している。

 事故現場はマラッカ海峡(Malacca Straits)のシンガポール沿いで、インドネシア、マレーシアと国境を接し、混雑している航路だが、事故および原油の除去作業による海上交通への影響はなかった。

 シンガポールは世界でも有数の往来の多い港で、同海事港湾庁のデータによると09年の取り扱い貨物量は4億7200万トンとなっている。

 なおAETによると、海中部分の船体の調査を行う前に、タンカーの損壊部分の内側に残った原油はほかの船内の別のタンクにポンプで移された。(c)AFP/Philip Lim