【5月11日 AFP】韓国海軍の哨戒艦「天安(Cheonan)」が爆発・沈没した事故で韓国の国防相は10日、「天安」の煙突部と、現場の海底から採取した砂から魚雷に用いられる火薬成分RDXが検出されたことを明らかにした。

 金泰栄(キム・テヨン、Kim Tae-Young)国防相は、魚雷の爆発が事故の原因だった可能性が高いとする一方で、何者が魚雷を発射したのかについては明言を避け、「結論を出すには時期尚早だ」と述べた。金国防相は、沈没艦のものではないと見られる複数の金属片も見つかったことも明らかにした。

 「天安」は3月26日、北朝鮮との境界水域付近の黄海(Yellow Sea)上で、原因不明の爆発を起こして沈没し、46人が犠牲となった。沈没に北朝鮮が関与したとの見方が絶えない。

 韓国メディアによると、沈没原因を調べている合同調査団による調査結果は来週にも発表される予定だ。李明博(イ・ミョンバク、Lee Myung-Bak)大統領は4日、「天安」の沈没事故に北朝鮮が関与している可能性を強く示唆し、関与が証明されれば「断固たる措置をとる」と表明した。

 韓国政府は爆発・沈没の責任が北朝鮮にあることが実証された場合も想定して対策を協議している。韓国政府は軍事行動をとる可能性も排除していないが、経済制裁を科す権限がある国連安保理にこの問題を持ち込むことになるだろうとの姿勢を取っている。

 韓国メディアは、報復措置としては北朝鮮軍向け物資を主とした南北貿易の中断や、韓国南部の済州海峡(Jeju Strait)の北朝鮮貨物船の通航禁止などが考えられると報じている。

 また、インターネットなどで爆発の原因は「現場近くを航行していた米艦船と衝突したため」との流言が飛び交っていることについて韓国国防省は、米韓が合同軍事演習を行っていた海域は事故現場から160キロメートルも離れていたと指摘して、「根も葉もない噂だ」と全面的に否定した。(c)AFP/Jun Kwanwoo