【4月19日 AFP】ロシア西部のスモレンスク(Smolensk)で10日に発生したポーランド政府専用機の墜落事故で死亡したレフ・カチンスキ(Lech Kaczynski)大統領夫妻の国葬が18日、ポーランド南部の古都クラクフ(Krakow)で執り行われた。

 大統領夫妻のひつぎは国葬に先立ち、同日ワルシャワ(Warsaw)からクラクフに航空機で運ばれた。クラクフ中心部の聖マリア教会(Basilica of Our Lady)でミサの開始を告げるサイレンが鳴ると、教会の周辺に集まった参列者は大型スクリーンに映し出された葬儀の様子を見守った。その後大統領夫妻のひつぎは軍の砲架でバベル城(Wawel Castle)に運ばれた。沿道に集まった人は「ありがとう」と叫び、大統領夫妻に最後の別れを告げた。

 大統領夫妻のひつぎは、過去の国王や聖者、詩人らが眠るバベル城の地下の、ポーランド独立で大きな役割を果たしたユゼフ・ピウツスキ(Jozef Pilsudski)の隣の石棺に安置された。

■要人欠席相次ぐ、露大統領は出席

 悲しみにくれる約15万人のポーランド国民が国葬に集まったが、アイスランドの火山噴火が空の交通に与えた影響でバラク・オバマ(Barack Obama)米大統領、アンゲラ・メルケル(Angela Merkel)独首相、ニコラ・サルコジ(Nicolas Sarkozy)仏大統領、英国のチャールズ皇太子(Prince Charles)、韓国の鄭雲燦(チョン・ウンチャン、Chung Un-Chan)首相ら各国の首脳級数十人が参列を取りやめた。

 しかしロシアのドミトリー・メドベージェフ(Dmitry Medvedev)大統領は空路クラクフ入りして国葬に出席し、ロシアの配慮を印象付けた。またポーランドとの関係が深いチェコ、エストニア、ハンガリー、リトアニア、ルーマニア、スロバキア、スロベニアの代表は道路や鉄道でクラクフに入った。

 欧州統合に懐疑的な姿勢を示しているチェコのバツラフ・クラウス(Vaclav Klaus)大統領は、欧州連合(EU)の代表が国葬に出席しなかったことについて、「欧州統合についての大げさな言辞はただの決まり文句だということだ」と述べて酷評した。

 外国要人の欠席が相次いだが、大統領夫妻を悼む国民の気持ちにかわりはない。夫と2人の子どもとともにクラコフ郊外から来たという女性(28)は、「上の方ではいろいろあるのでしょうが、だからといって私たちが参列しないということはありません」と話した。(c)AFP/Mary Sibierski