【5月20日 AFP】オーストラリア・メルボルン(Melbourne)北西にある小さな町、メアリボロ(Maryborough)の医師2人が、自転車から転落した少年の脳にできた凝血を取り除くために、家庭用ドリルを使って頭蓋骨に穴を開け、成功したことがわかり、その勇気とたぐいまれな技術に、称賛の声が上がっている。

 ニック・ロッシ(Nick Rossi)君(13)は15日、父親のマイケル(Michae Rossil)さんによると、自転車から転落してコンクリートの地面に頭を強く打ちつけた。

 当初はけがもなく無事にみえたが、母親のカレン(Karen)さんが耳の後ろにしこりを発見し、息子を病院に連れて行くことにした。「そこから、息子はみるみるうちに悪化していった」と国営ラジオに出演したマイケルさんは述べた。

「意識を失ったり、取り戻したりを繰り返していたが、やがて呼吸装置をつけなければならなくなった。そしてそこから緊急救命室は手術室に変身したんだ」(父親のマイケルさん)

 医師の1人、デビッド・タイナン(David Tynan)氏によると、凝血を取り除かない限りニック君が死んでしまうことは明らかだったが、小さな病院の手術室には、頭蓋骨に穴を開けることができるような強力な手術用ドリルがなかった。そこで、家庭用ドリルを取って来させたという。「メルボルンの神経外科医から(電話で)指示を受けながら、少年の頭を切開し、次にドリルで頭蓋骨に穴を開けた」

「かなり怖かったよ。誰だってそう思うだろうけど…強く押し込みすぎてるのじゃないか、と心配になった。しかし、頭蓋骨を貫通したら、中から血が流れ出してきて、われわれは正しい判断を行ったのだと感じた」(デビッド・タイナン医師)

 マイケルさんは、ドリルで穴を開けたロブ・カーソン(Rob Carson)医師から「1度きり(の貫通)」で済んだと説明を受けた。また、ニック君の神経外科医は、その勇敢な行為がニック君の生死を分けたと述べた。「(神経外科医は)カーソン医師の行動は非常に勇敢だったと、あとで教えてくれたよ」

「家庭用ドリルでやり遂げたということは、信じられないことだそうだよ」(マイケルさん)

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