【4月25日 AFP】(一部訂正)米国各地の飛行場では、航空機と野鳥や野生動物との激しい戦いが繰り広げられており、パイロットにとって飛行場はもはや「ジャングル」同様になりつつある――米連邦航空局(Federal Aviation AdministrationFAA)が24日に発表した最新データから、こうした深刻な状況が浮かび上がった。

 過去10年の間に、航空機と野生動物との衝突件数は2倍に増加。08年1-11月には8758件を記録した。

 航空機と野鳥の群れとの衝突事故「バードストライク」がもたらす被害規模は、ほとんどの場合ごくわずかだ。ここ数年、深刻な被害をもたらす衝突の件数は減少傾向にあり、前年に深刻な被害をもたらした衝突は98件だった。

 ところが、今年1月、ニューヨーク(New York)のハドソン川(Hudson River)で旅客機の不時着事故が発生。ガンがエンジン部分に衝突したことが原因だったことから、バードストライクの危険性が新たに認識される結果となった。

 過去最大の事故が起きたのは1960年。マサチューセッツ(Massachusetts)州でムクドリの群れと衝突した民間機が墜落し、62人の犠牲者を出した。

 1998-2008年の間に米国でバードストライクの事故件数が最も多かったのは、1444件のニューヨークのケネディ国際空港(John F. Kennedy)や、1702件のテキサス(Texas)州ダラス(Dallas)、1567件のイリノイ(Illinois)州シカゴ(Chicago)などだった。

 FAAのデーターによると、航空機はスカンク、オジロジカ、イヌ、ウサギなどによる地上からの「攻撃」も受けている。フロリダ(Florida)州では、1994年から2005年の間に、ワニとの衝突事故が少なくとも14件あったという。

 航空機の製造技術が進歩してエンジン数が3-4基から2基に減ったため、野鳥が飛行機の音を聞き取りにくくなるという予想外のデメリットがもたらされている。さらに、エンジンが2基の場合、事故発生時に補助的に使用できるエンジンがないという危険もある。

 これらの要因から、野生動物と航空機との衝突事故が発生するリスク、頻度、そして深刻度が、今後10年間で増加することが予想されると、FAAは述べている。(c)AFP