【1月15日 AFP】ニュージーランドのレンタカー会社が、旅行中に氷河の落下事故で死亡した兄弟が利用していたレンタカーのカギ付け替え費用などを、この兄弟の両親に請求していたことが明らかになった。これに対し、同国のジョン・キー(John Key)首相を始めとして非難の声が高まり、レンタカー会社は14日、請求を撤回した。

 死亡したのは、航空宇宙エンジニアの兄(24)と学生の弟(22)のオーストラリア人兄弟。2人は8日、同国南島西部にある氷河フォックス・グレーシャー(Fox Glacier)のそばで写真撮影中に、崩れ落ちてきた100トンの氷河の下敷きになった。

 兄の遺体は数時間後に回収されたが、弟の遺体は、氷河が再度崩れ落ちて2次災害を引き起こす危険があったため回収ができなかった。借りていたレンタカーのカギは、弟の洋服のポケットに入っていたのだという。

 レンタカー会社の「New Zealand Car Rental Specialists」は、兄弟と一緒に旅行中だった両親に対し、カギの付け替え費用と首都ウェリントン(Wellington)までのレンタカーのレッカー移動費用として、最大1950ニュージーランド・ドル(約9万4000円)を請求した。

 これに対し、ニュージーランドのキー首相が、会社は遺族にもっと思いやりを示すべきだったと語るなど、同国やオーストラリアで同社を非難する声が高まった。会社側はこれを受け、請求を撤回した。

 ニュージーランド政府観光局(Tourism New Zealand)は14日夜、New Zealand Car Rental Specialistsが、当初は撤回を拒否していたものの、請求費用を撤回することを決めたと発表した。(c)AFP