【1月19日 AFP】(1月19日 写真追加)昨年12月に韓国沖でタンカーが衝突し原油が大量流出した問題で、被害を受けた漁業関係の男性が18日、補償を求める抗議集会中に、服毒した上で焼身自殺を図った。男性はすぐに病院に搬送されたが、翌19日朝に死亡が確認された。これで、原油流出事故に関連した自殺者は、3人目となった。

 集会はソウル(Seoul)の南西約110キロの泰安(Taean)で開催され、原油流出による被害に対する完全補償に向けた特別法の制定を求めて約5000人が集まっていた。

 目撃者によると、自殺したJi Chang-Hwanさん(56)は、除草剤を飲んで走って集会場所の壇上に上がり、体に塗料用シンナーを浴びて、ライターで火をつけたという。

 事故は昨年12月7日、韓国の西岸沖で発生した。香港(Hong Kong)船籍のタンカー「Hebei Spirit」と、サムスン重工業(Samsung Heavy Industries)のバージ船が衝突し、原油1万トン以上が流出。韓国史上最悪の原流出事故と見られており、泰安を始め沿岸部では漂着した原油で大きな被害を受けた。

 この事故ではすでに、生活の糧に大打撃を受けて悲観した漁師2人が自殺している。

 警察当局は来週、事故の捜査結果を報告する。泰安の住民は事故に関与した企業に対し、重油流出による被害の完全補償を支払うことと「無制限の責任」を取ることを求めているが、補償総額は数百万ドルに上ると見られる。(c)AFP