【12月25日 AFP】(12月26日 一部更新)エジプト北部の港町アレクサンドリア(Alexandria)で25日、前日発生した12階建てアパートの倒壊事故現場から24歳の女性が救助された。女性の状態は良好だという。事故現場からは新たに遺体が発見され、犠牲者は4歳の女児1人を含む14人となった。

 負傷者3人が救出後、病院に搬送されたが、今なお15人近い行方不明者がいるとみられる。国営中東通信(MENA)は負傷者を7人と伝えていたが、のちに3人に修正している。

 現場は事故発生以来、封鎖されており、家族の身の安全を心配した人々が見守るなか、救急隊員らがコンクリート片を慎重にどかし、エジプトの家屋屋根につきものの衛星放送受信用アンテナを取り除くなどして、救出作業を進めている。MENAによれば、救出作業には軍の装備も用いられているもよう。

 問題のアパートには40-50人が住んでいたが、事故は早朝、居住者の多くが職場や学校に行ったあとに発生した。

 この建物は、地元当局により1995年に建築法に違反しているとして最上階とその下の階の取り壊しを命じられたが、工事は行われないままだった。MENAは建物が25年前、建築許可を得ないまま建設されたと報じている。

 アレクサンドリアのアデル・ラビブ(Adel Labib)市長は、事故発生当時、作業員が建物1階部分の改修工事を行っていたが、建物は突然傾き、倒壊したと話した。市長は、両側の建物も部分的に倒壊しているため、住民に避難を命じたという。

 建物の所有者ならびに不動産会社に対しては24日、改修工事を怠った容疑で逮捕令状が出ている。所有者らは2002年後半にも建物の改修を命じられたが、住民と「意見が対立し」工事が度重なり遅れたとしている。

 エジプトでは、ビルの倒壊が多発している。構造が建築基準を満たしていなかったり、強度の弱い材料が使用されたりしたケースが多い。(c)AFP