【5月2日 AFP】(写真追加、一部更新、5月3日 写真追加)北京五輪の聖火リレーは2日、中国領土内では初の開催地となる香港(Hong Kong)で行われた。スタートからゴールまで8時間をかけたリレーは、ビクトリアハーバー(Victoria Harbour)を臨む広場に到着した最終走者が手にしたトーチから聖火台に点火し、大きな混乱もなく終了した。

 約1月前にスタートした聖火リレーは、各地でチベット自治区での暴動を制圧した中国への抗議の場と化し、中国政府にとっては悪夢のような状況が続いた。抗議の内容はチベット問題が主だが、聖火リレーの場では中国に対する様々な非難がぶつけられ、中国政府が「五輪を政治化すべきではない」との声明を発表した。

 香港に来て聖火はようやく盛大な歓迎をもって迎えられた。沿道では香港住民ら数千人が、中国と香港の旗を手に聖火リレーの走者に声援を送った。一部では、水上をドラゴンボートで聖火を運ぶコースも設けられた。

 このあと聖火は3日から中国本土を回る。

 活動家にとっては、一定の政治的自由が存在する香港が、聖火リレーが中国本土に向かう前に抗議活動を行う最後のチャンスだ。

 リレーコースの路上では、散発的ながらチベット支持派や民主運動家による抗議活動も行われ、警察に身柄を拘束される人びとも出た。警察によれば、拘束された活動家らは、その後、釈放されたという。

 一方、1997年に香港が英国から中国に返還された際に確約された直接選挙の実施を要求する民主化活動家100人あまりと中国支持派の人びとがにらみ合い、一触即発の場面もみられた。

 中国支持派が「家に帰れ!ここから出て行け!」などと叫ぶ中、数十人の警察官が非常線を張って両団体を引き離した。

 ボーイフレンドや家族と聖火リレーを見に訪れた看護士の女性は、「香港市民は聖火リレーを楽しみにしてきた。抗議活動はふさわしくないと思う」と話した。(c)AFP/Arthur MacMillan