【8月21日 AFP】「『将軍様』こと金正日(キム・ジョンイル、Kim Jong-Il)のバッジを指さして笑ってはいけない」――韓国の五輪選手団には、北朝鮮選手団との不要ないさかいを防ぐための注意事項が記されたハンドブックが配布されている。関係者が20日明らかにした。

 大韓体育会(KOC)が作成した150ページのハンドブックには、「金正日総書記と故・金日成(キム・イルソン、Kim Il-Sung)国家主席のバッジや肖像画を指さしたり触れたり笑ったりしてはいけない、2人を崇拝する言動を笑ってはいけない」とある。

 また、北朝鮮の選手と接する場合は、政治的な話題は避け、毅然かつ堂々たる態度を保たなければならない、とある。

 さらには、「韓国、北朝鮮、大韓民国、朝鮮民主主義人民共和国という言葉は、不用意な議論を呼ぶため、使ってはならない。自分たちを指すときは『われわれ』、北朝鮮を指すときは『北側』『あなたがた』を使うこと」とある。

 両国は、1950-53年の朝鮮戦争以来、休戦中とはいえ理論的には戦争状態にある。両国は互いの存在を認めておらず、北朝鮮の国営メディアは韓国を指すときに「南の朝鮮」「南側」という言葉を使っている。

 2月に李明博(イ・ミョンバク、Lee Myung-Bak)氏が対北朝鮮強硬路線を掲げて韓国の大統領に就任して以来、両国関係はかつてないほど悪化している。南北の選手団は前回、前々回の五輪の開会式で一緒に行進したが、今回は別々に行進した。

 ただし、これまでに北京五輪会場で両国の選手が笑顔であいさつを交わす光景が見られたとの証言もある。

 北京五輪には、北朝鮮は63人、韓国は267人の選手団を送っている。20日午後の時点での金メダル獲得数は、北朝鮮が2個、韓国が8個だ。(c)AFP