【5月12日 AFP】記録的な原油高が続くなか、北京五輪のエネルギー需要が原油価格の高騰にさらに拍車をかけると産業アナリストらが警告している。

 高騰する原油価格は、前週には1バレル当たり126ドルの最高値を更新した。背景には高まる需要に対して据え置きが続く原油生産量や産油大国ナイジェリアの政情不安がある。

 こうした事情に加え、北京五輪を8月に控え、五輪期間中に見込まれるエネルギー需要分の中国による「買いだめ」も原油高の一因だと、米証券大手リーマン・ブラザーズ(Lehman Brothers)のアナリスト、エドワード・モース(Edward Morse)氏は指摘する。

 アジアの経済大国、中国は米国に次ぐ世界第2位のエネルギー消費大国でもある。

 記録的な経済成長を続ける中国では、8月8日から24日まで開催される北京五輪期間中に、関連施設や交通機関でのエネルギー需要の急増が見込まれてる。

 仏銀行大手BNPパリバ(BNP Paribas)のアナリスト、ハリー・チリンギリアン(Harry Tchilinguirian)氏は、五輪開催に向け、道路や住宅、ホテル建設などのインフラ整備に莫大な支出が行われ、結果的にエネルギーが大量消費されるだろうと語る。

 さらに、五輪選手や観客らによる北京・海外間の航空機での往来が増加することが予測されるため、航空機燃料のケロシンの価格も高騰するとみられる。

 英ダンディー大学(Dundee University)でエネルギー政策を研究するPhilip Andrews-Speed教授は、世界が注目する北京五輪の最中にエネルギー不足に陥るような事態を何としても避けたい中国は、原油確保のため、あらゆる手段をとるだろうと予測する。

「中国の威信のみならず、中国社会の安定のためにも五輪開催中のエネルギー不足は避けねばならない。原油の輸入関税撤廃などの思い切った措置をとる可能性もあるだろう」(同教授)(c)AFP/Roland Jackson