【7月6日 AFP】陸上、全米選手権(USA Outdoor Track & Field Championships)兼北京五輪米国代表選考会(US Olympic Team Trials - Track & Field)男子200メートルの準々決勝に出場したタイソン・ゲイ(Tyson Gay)は、左太もも裏の痙攣(けいれん)により途中棄権したため、同種目での北京五輪出場を逃した。

 ゲイの棄権は会場のヘイワード・フィールド(Hayward Field)に集まった2万人以上の観客に衝撃を与え、すでに出場を決めているもののこの負傷により北京五輪の男子100メートルではゲイとジャマイカ勢のウサイン・ボルト(Usain Bolt)とアサファ・パウエル(Asafa Powell)との対戦が見られない恐れを起こした。

 これを受けてゲイの代理人を務めるマーク・ウェットモア(Mark Wetmore)氏は、一見したところ同選手には大きな故障は見当らなかったとし、レース前から太もも裏に違和感を感じていたとするゲイ本人の声明を発表している。声明でゲイは「トラックに出る前から太もも裏に少し張りがあったので嫌な予感はしていた。カーブに差しかかり最初の2歩は問題なかったが、その後に40メートル付近で足が引っ張られるような感じがした。転倒したときは最初に感じたような痛みはなかった」と語っている。

 6月29日に行われた同大会の100メートル決勝でゲイは追い風参考記録ながら9秒68を記録して優勝を果たしている。しかし200メートルでは現地6日に行われる決勝で上位の3選手が米国の代表入りをすることになる。

 準々決勝第1組の第7レーンからスタートしたゲイは、負傷により転倒してストレッチャーでトラックから運び出され、その後アイシングと理学療法士の治療を受けるためホテルに戻った。

 ゲイとボルトとパウエルの世界最速の男を決めるレースは、北京五輪の目玉の一つとして注目を集めている。

 5月31日にニューヨーク(New York)で開催された陸上競技・リーボックグランプリ2008(2008 Reebok Grand Prix)の男子100メートルでボルトは、ゲイを抑えてパウエルが樹立した9秒74の世界記録を塗り替える9秒72を記録し優勝を果たしている。(c)AFP/Jim Slater